古物商許可

古物商の法律違反の罰則と逮捕事例【知らないでは済まされない?】

 

古物商の法律に違反したら罰則があるって本当?
過去に法律違反で捕まった人はいるの・・・?

 

古物商の法律に違反した場合には・・・罰則があります。

 

古物商に関する法律としては、古物営業法という法律があるのですが、この法律に違反した場合には以下のような罰則規定が設けられているのです。

 

古物営業法違反の罰則

  • 3年以下の懲役又は100万円以下の罰金
  • 1年以下の懲役又は50万円以下の罰金
  • 6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金
  • 20万円以下の罰金
  • 10万円以下の罰金
  • 許可の取消や営業停止などの行政処分

 

また、過去には古物営業法違反で捕まった人も実際におられます。

 

もちろん、この法律について知らなかったという理由で罰則が免除されるわけではないので、「そんな法律は知らなかった・・・」では済まされません。

 

ですので、これから古物商として営業を行っていくのであれば、古物商の法律に違反した場合にどういった罰則があるのかをしっかりと理解しておく必要があります。

 

以下では、古物営業法の違反に関する罰則や、実際に逮捕された事例を紹介しながら解説していきます。

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古物商の法律違反には罰則がある

古物商の法律違反は、大きく分けると以下の2種類に分けることが出来ます。

 

  1. 古物商の義務違反
  2. 古物商の許可取得に関する違反

 

古物商の義務違反

 

古物商には、古物営業を行う上で守らなければならない三大義務と9つの遵守事項が規定されています。

 

まず、三大義務とは以下の3つの義務のことを言います。

 

古物商の3大義務

  1. 本人確認の義務
  2. 取引の記録義務
  3. 不正品の申告義務

 

古物営業法の目的は「盗品等の売買の防止、速やかな発見、窃盗の抑制、被害の迅速な回復」であり、これらの三大義務はその目的に直結する内容なので特に厳しく規定されています。

 

また、古物商には三大義務以外にも以下のような9つの遵守事項も設けられています。

 

9つの遵守事項

  • 古物商プレートの掲示
  • 管理者の選任
  • 帳簿等の備え付け
  • 品触れ
  • 差し止め
  • 許可証の携帯
  • 営業の制限
  • 名義貸しの禁止
  • 競り売りの届け出

 

これらの遵守事項も、古物営業法が掲げる目的を達成するために必要なことです。

 

そして、古物商の許可を取得して古物営業を営むのであれば、上記の三大義務と遵守事項を守らなければならず、もし違反した場合には罰則が設けられています。

 

罰則の内容については違反事項によって異なるのですが、以下のような罰則が設けられています。

 

罰則

  • 3年以下の懲役又は100万円以下の罰金
  • 1年以下の懲役又は50万円以下の罰金
  • 6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金
  • 20万円以下の罰金
  • 10万円以下の罰金
  • 許可の取消や営業停止などの行政処分

 

古物商の三大義務や遵守事項についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

 

古物商の許可取得に関する違反

 

そして、古物商の法律違反について、特に注意しなければならないのが、こちらの〝古物商の許可取得に関する違反“です。

 

古物商の許可取得に関する違反とは、以下のような場合を言います。

 

  1. 無許可で古物営業をした場合
  2. 虚偽申請によって公安委員会から許可を受けた場合

 

では、なぜ特に注意しなければいけないかというと、故意又は知らずに法律違反を犯してしまっている人が増えているからです。

 

最近ではネットオークションサイトやフリマアプリなどの影響で、多くの人がネットで売買を行うようになりました。

 

このように、ネットによって生活が便利になるのは良いことなのですが、その反面、古物商の許可違反が増えているのです。

 

その典型的な例が、無許可での古物営業です。

 

無許可での古物営業を行った場合には、古物営業法において以下のように罰則が設けられています。

 

古物営業法31条

次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一 第三条の規定に違反して許可を受けないで第二条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営んだ者
二 偽りその他不正の手段により第三条の規定による許可を受けた者

引用:電子政府の総合窓口(e-Gov)古物営業法

 

条文のままだと分かりにくいので、もう少し分かりやすく言うと以下のようになります。

 

条文の要約



次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

一 無許可で古物営業を営んだ者
二 不正な手段により古物商の許可を受けた者

 

つまり、無許可や不正の手段により古物商の許可を取得した人が古物営業を行った場合には、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処される可能性があるのです。

 

え?ネットオークションサイトやフリマアプリで売買しても古物商の許可が必要になる場合があるの?

 

と驚いたかもしれませんが、自分の不要になったものを出品している程度なら何の問題もないのです。

 

問題はネットオークションサイトやフリマアプリを利用して、お金を稼ぐ目的で売買している場合です。

 

この場合には、無許可での古物営業と判断されて、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処される可能性があるの注意が必要です。

古物営業って何?
どんな場合に古物営業に該当するの?

上記でも解説したように、古物商の許可を得ずに古物営業を行った場合に処罰される可能性があります。

 

では、そもそも古物営業とは何なのでしょうか?

 

古物営業とは古物営業法によると以下のように定義されています。

 

古物営業法2条2項

この法律において「古物営業」とは、次に掲げる営業をいう。
一 古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの

引用:電子政府の総合窓口(e-Gov)古物営業法

 

このままの条文だと分かりにくいので、簡単に言うと「古物を売買・交換して営業する」ことをいます。

 

となると、またここで2つ疑問が出てきます。

 

それは、「古物」とは何か?「営業」とは何か?です。

 

ここで言う古物とは、中古品・新品未使用品・修理品などの、小売店等から一度でも一般消費者の手に渡ったモノを指します。

 

 

上の図で言うとAは小売店等から新品を購入しているので、仮にそのかばんを誰かに販売したとしても古物を取り扱っている事にはなりません。

 

一方で、BやCについては一度Aという一般消費者に渡った古物を購入していることになるので、それが仮に未使用品だったとしても誰かに販売する場合には古物を販売したことになります。

 

次に「営業」についてですが、ここでいう営業とは、利益を得る目的で反復・継続的に行っていることを言います。

 

 

つまり、転売によってお金稼ぐ目的で購入した商品を反復・継続的に売買している場合を指します。

 

逆に言うと、売買の利益を得るためではなく、自分で使用する目的で購入した物を販売する場合には古物商は必要ないのです。

 

ということは、古物営業というのは小売店等以外から、利益を得る目的として購入した商品を反復・継続的に売買することを言い、この場合には古物営業の許可が必要となります。

 

一方で、転売目的であっても、小売店から購入した新品商品を販売する分には古物営業の許可はいりません。

 

なぜなら、そもそも古物営業法は「盗品等の売買の防止、速やかな発見等を図る」ことを目的とした法律であり、小売店等から購入した場合には窃盗などの心配が及ばないからです。

 

実際に、警視庁の解釈基準でも以下のように記載されています。

 

古物営業関係法令の解釈基準について 第1-1-(2)

小売店頭から一度でも一般消費者の手に渡った物品は、それが未だ使用されていない物品であっても「古物」に該当する。

引用:警視庁「古物営業関係法令の解釈基準等について」

 

つまり、小売店から一般消費者の手に一度も渡っていない物品は「古物」に該当しないので、「古物」に該当しない物品を販売しても古物営業に当たらないのです。

 

営利目的かどうかは
客観的に判断されてしまう

じゃあ、自分で使用する為に買ったということにすれば、大丈夫なんじゃないの?

 

小売店等以外から営利目的で商品を購入して売買した場合には古物商の許可が必要で、自分が使用する目的で購入した商品を売買する場合には許可が不要なら、「自分で使用する為に購入したことにすればいいのでは?」と考える人も多いです。

 

確かに、営業としてではなく、自分の為に購入した物を売買する分には、古物商の許可は不要です。

 

しかし、いくら自分が使用するために購入していると言っても、特定の場合には客観的に「営業」に該当すると判断されてしまう可能性があります。

 

では、どういった場合に営業に該当するかというと、『消費者庁:インターネット・オークションにおける「販売業者」に係るガイドライン』で以下のようなケースが挙げられています。

 

営業に該当するケース

  • 過去1ヶ月に 200 点以上又は一時点において 100 点以上の商品を新規出品している場合
  • 落札額の合計が過去1ヶ月に 100 万円以上である場合
  • 落札額の合計が過去1年間に 1,000 万円以上である場合
  • カメラ・パソコン・テレビ等の家電について同一の商品を一時点において5点以上出品している場合
  • 自転車・二輪車の部品等について同一の商品を一時点において3点以上出品している場合
  • CD・DVD・パソコン用ソフトについて同一の商品を一時点において3点以上出品している場合
  • ブランド品に該当する商品を一時点において20点以上出品している場合
  • インクカートリッジに該当する商品を一時点において20点以上出品している場合
  • 健康食品に該当する商品を一時点において20点以上出品している場合
  • チケット等に該当する商品を一時点において20点以上出品している場合

 

しかも、上記の商品に該当しない又は、上記の数字を下回っていれば良いというワケではなく、個別案件ごとに客観的に判断される点には注意が必要です。

リサイクルショップやバザー
フリマについても注意が必要

上記ではインターネットの販売者に関するガイドラインをもとに古物商の営業にが該当するかどうかを解説しましたが、ネットだけではなくオフラインのリサイクルショップやバザー、フリマにおいても同様のことが言えます。

 

警視庁の見解では、リサイクルショップやバザー、フリマに関する解釈基準を以下のように公表しています。

 

古物営業関係法令の解釈基準について 第2-4

いわゆるバザーやフリーマーケットについては、その取引される古物の価額や、開催の頻度、古物の買受の代価の多寡やその収益の使用目的を総合的に判断し、営業目的で反復継続して古物の取引を行っていると認められる場合には、古物営業に該当する

引用:警視庁「古物営業関係法令の解釈基準等について」

つまり、オンラン・オフラインに関わらず、それぞれの個別案件ごとに客観的に営業に該当するかどうかを判断されてしまうのです。

 

ということは、仮に古物営業法違反を指摘された場合に「自分で使用する為に購入した商品を売買した」と説明しても、客観的にみて営業していると判断された場合には、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処される可能性があるというわけです。

古物商の法律違反だと
通報されうリスクもある

 

でも、バレなければいいんでしょ?

 

世の中にはバレないだろうと思って、古物商の許可を取らずに古物営業をしている人がたくさんいます。

 

しかし、無許可で古物商の営業を行っていると通報されてバレてしまうリスクがあります。

 

具体的には、以下のような人から通報されるケースがあるので注意が必要です。

 

  • 同業他社からの通報
  • お客さんからの通報

 

古物商許可を取得している同業他社からすると、無許可で古物営業を行っている業者を良くは思いません。

 

それもそのはずで、自分はしっかりとお金を払って許可を得ているのに、何の許可もない人のお客さんを取られてしまうわけですから。

 

そこで、商売の邪魔をされないように、同業他社から無許可で営業していることを通報される可能性があります。

 

また、お客さんからの通報されるリスクもあります。

 

特に、最近ではネットの普及によって、個人間での売買が頻繁に行われていますが、個人間だからこそトラブりが起こるケースも少なくありません。

 

そして、トラブルになった場合に、お客さんが腹いせに古物営業を無許可で行っていると通報する可能性も十分に考えられます。

古物商の法律違反で逮捕された事例

 

ここまで、古物商の法律違反に関する罰則について解説してきましたが、中には古物商の法律違反を軽視している人も多いです。

 

しかし、過去には逮捕された事例もあるので、自分は大丈夫だろうと法律違反を甘く見ない方が良いと思います。

 

以下では、古物営業法違反により逮捕された事例を紹介します。

アイドルグループ「嵐」のコンサートチケットを無許可で転売したとして、北海道警は14日、香川県善通寺市善通寺町7丁目のブリーダーの女(25)を古物営業法違反(無許可営業)の疑いで逮捕し、発表した。容疑を認めているという。

引用:朝日新聞デジタル

 

この事例は、最近でも特に話題になっているチケット転売において、無許可で古物営業を行っていたとして逮捕されたものです。

 

ただ、チケットに関しては、2019年6月14日に「チケット不正転売禁止法」を施行されたので、現在の同様の事案に関してはチケット不正転売禁止法で取り締まられる可能性が高いです。

 

中古漁船4隻を無許可で売買したとして警視庁などは、北海道根室市の自営業の男(67)を古物営業法違反(無許可営業)の疑いで20日に釧路地検に書類送検した。捜査関係者への取材でわかった。

引用:朝日新聞デジタル

 

この事例に関しても、無許可で古物営業を行っていたとして書類送検された事例です。

 

身分を確かめず、偽名で書類を書かせたうえで盗品を買い取ったとして、福岡県警は9日、福岡市南区柏原4丁目、古物店経営林政弘容疑者(38)を古物営業法違反などの疑いで逮捕し、発表した。

引用:朝日新聞デジタル

 

この事例は、無許可営業で逮捕されたのではなく、古物営業法に規定されている古物商の義務を怠り、盗品を買い取ったことで逮捕されています。

 

なので、古物商の無許可営業だけではなく、古物営業法で定められている義務違反を怠った場合にも処罰される可能性があるので注意が必要です。

古物商の法律違反が発覚して
直ちに処罰される可能性は低いけど・・・

 

上記でも紹介しているように、古物商の法律に違反した場合には厳しい罰則が設けられています。

 

ただし、無許可で古物商の営業をしていたことが発覚したからと言って、直ちに3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処される可能性は今のところ低いようです。

 

というのも、実際に古物商の無許可営業が発覚した場合には、警察署から営業の停止と古物商の許可を取得するように指示されることが一般的のようです。

 

とはいえ、逮捕事例のところでも紹介したように、事案によっては直ちに逮捕される可能性はありえるので、古物営業を行うのであれば古物商の免許は取得すべきです。

 

何度も言うようですが、逮捕された場合に「知らなかった・・・」では済まされないので、しっかりと法律に基づいて営業することをおすすめします。

古物商の法律違反の罰則と逮捕事例まとめ

この記事のまとめ

  • 古物商の法律に違反すると罰則がある
  • 古物商の無許可営業については三年以下の懲役又は百万円以下の罰金
  • 小売店等から購入した新品を転売する場合には古物商は不要
  • 自分の使用のために購入したという言い訳は通用しない
  • 無許可以外にも古物商の義務違反の場合には処罰される可能性がある

 

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