古物商許可

古物商許可の要件と10の欠格事由【あなたは条件満たせてる?】

この記事を書いた人

長島 雄太

NAGASHIMA行政書士事務所

NAGASHIMA行政書士代表。取り扱い業務は国際業務(在留資格・ビザ)、古物商許可。サラリーマンとして働きながらウェブマーケティング会社を起業し独立。その後、行政書士資格を取得して行政書士事務所を開業。

 

古物商の許可を受けるにはどんな条件があるのだろう?
古物商の10の欠格事由って何だろう?

 

古物商の許可は申請すれば誰でも許可を受けられるというワケではなく、許可要件を満たしている場合にのみ許可が下ります。

 

又、許可の要件の中には、申請者が古物商の欠格事由に該当していないことが求められています。

 

この記事では、古物商の許可を受ける上での要件や、10の欠格事由について詳しく解説していきます。

 

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古物商許可の要件は2つ

 

冒頭でも言ったように、古物商の許可は申請すれば誰でも取得できるというワケではなく、古物商の許可要件を満たしている必要があります。

 

  1. 古物商の欠格事由に該当しないこと
  2. 規則に定める書類を添付して、公安委員会に許可申請書を提出すること

 

つまり、欠格事由に該当せず、正しく申請書・添付書類を公安委員会(警察署)に提出すれば許可が受けられるので、古物商の許可要件はそこまで厳しくはありません。

 

ただし、欠格事由に該当する場合や、申請書の記載が間違っていたり、添付書類が足りなかった場合には不許可となる可能性もあるので注意してください。

 

逆に、申請書類や添付書類がしっかりと提出されていても、欠格事由に1つでも該当する場合には古物商の許可はおりません。

古物商の許可申請における10の欠格事由

 

古物商の許可申請に必要な書類に関しては別の記事で詳しく解説しているので、この記事では欠格事由について詳しく解説していきます。

 

古物商の許可申請における欠格事由は10個あります。

 

この中のどれか1つにでも該当した場合には、必要な申請書類を正しく提出したとしても許可は受けられません。

 

古物商許可の10の欠格事由

  1. 古物営業に必要な能力を有していない
  2. 破産者で復権を得ない者
  3. 一定の犯罪者
  4. 暴力団員等
  5. 住居の定まらない者
  6. 古物商の許可を過去に取り消された者
  7. 違反後に古物商の許可証を返納した者
  8. 未成年者
  9. 不適任な管理者を選任した者
  10. 法人の役員が①~⑧に該当する場合

古物商許可の欠格事由その1
古物営業に必要な能力を有していない

 

これまでは「成年後見人・被保佐人」が、古物商の許可の欠格事由とされていました。

 

成年後見人とは、精神上の障害により判断能力を欠くとして、被保佐人とは精神上の障害により判断能力が不十分として、家庭裁判所から審判を受けた人の事です。

 

そして、成年後見人・被保佐人は十分な判断ができないため、これまでは資格や職業、業務等の欠格事由として挙げられてきました。

 

しかし、成年後見人や保佐人ということだけで、一律に排除するのは人権が尊重されず、不当に差別される可能性もあります。

 

そこで、「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」として、それぞれの資格や職業、業務の欠格事由から成年後見人や保佐人が削除されました。

 

その代わりに心身の故障等の状況をもとに、必要な能力を有しているかどうかで判断されることになりました。

 

そして、その結果、古物営業を営む上で必要な能力を有していないと判断されたば場合には古物商の許可を受けることが出来ません。

 

古物商許可の欠格事由その2
破産者で復権を得ない者

破産者で復権を得ていない人は古物商の許可を取得することが出来ません。

 

破産者とは、破産手続き開始の決定を受けた者をいいます。

 

ただ、過去に破産歴がある全ての人が古物商の欠格事由に該当するわけではなく、破産者で復権を得ている人については古物商の古物商許可の取得が可能です。

 

破産の復権とは、破産手続き開始の決定によって制限を受けていた権利・資格などを消滅させ、破産者本来の法的な地位に回復させることを言います。

 

では、どのような場合に破産者が復権を得られるのかというと、以下のような場合に復権を得られます。

復権を得られる場合

  • 免責許可の確定
  • 破産手続きの廃止
  • 個人再生の再生計画認可が決定
  • 破産手続きから10年が経過
  • 全ての債務がなくなる

 

そして、破産者の9割以上の人は破産開始から3~6カ月程度で免責許可が確定し、復権が得られるので古物商の許可を取得することが可能ということです。

 

因みに、免責許可が認められない場合というのは、財産を隠蔽や不当な債務負担の他、浪費やギャンブルで借金をした場合には、免責不許可となってしまいます。

 

つまり、その場合には古物商許可を取得することもできません。

 

逆に言うと、破産者の9割以上の人は復権を得ているので、ほとんどの人は古物商の許可を取得できるというわけです。

古物商許可の欠格事由その3
一定の罪を犯した者

 

以下の該当する罪を犯した者は古物商の許可を取得することは出来ません。

 

欠格事由に該当する犯罪

  1. 禁固以上の刑に処せられた者・・・刑法によると刑の重さは「死刑→懲役→禁固→罰金→拘留及び科料」とされています。つまり、禁固・懲役の場合。因みに、禁固とは受刑者を刑事施設(監獄)に拘置する刑、懲役とは、受刑者を刑事施設内で拘置し、工場などで所定の作業を行わせる刑のことを言います。
  2. 無許可で古物営業を営んだ者・・・古物営業を営んでいるにも関わらず無許可で古物営業を営み、刑に処せられた場合。
  3. 不正の手段によって古物商の許可を得た者・・・申請内容を偽り、又はその他の不正の手段によって古物商の許可を受けて刑に処せられた場合。
  4. 名義貸しで古物営業を営ませた者・・・自分の名義を貸して誰かに古物営業を行わせて刑に処せられた場合。
  5. 古物営業の停止命令等に違反した者・・・何らかの事情によって営業停止を命ぜられたにもかかわらず、それを無視して営業を行い刑に処された場合。
  6. 他人の物を窃盗した者(刑法235条)・・・窃盗で罰金刑に処された場合。
  7. 自分の利益の為に地位や役職を利用して役所や会社に損害を与えた者(刑法247条)・・・自分が利益を得る目的で、自分の地位や立場を利用してモノやお金などを横領した場合。
  8. 遺失物等を横領した者(刑法254条)・・・落とし物を自分の不法に自分の物にして罰金刑に処された場合。
  9. 盗品等を譲り受けた者(刑法256条第2項)・・・誰かが盗んだ物を譲り受けて自分の物にして罰金刑に処された場合。

 

因みに、①については禁固以上ですが、②~⑨については禁固以下の刑であっても、刑に処されていた場合には古物商の許可を取得することが出来ません。

 

なぜなら、古物商の許可制度は、盗品の防止や、速やかな盗品の発見などを目的として制定された法律なので、上記に該当する人に古物商の許可を与えるとその目的を達成できない可能性がからです。

 

逆に言うと、傷害罪などで罰金刑に処された場合には①〜⑨には該当しないので、古物商の許可が取得できるというわけです。

 

又、過去に上記の犯罪を犯していた場合でも、以下のような場合にも古物商の許可が取得できます。

 

欠格事由に当たらない場合

  • 禁固刑以上の場合で、執行猶予が与えられ、執行猶予期間を経過した者
  • 刑の執行が終わってから5年以上が経過している者
  • 刑の執行を受けることがなくなってから5年以上が経過している者

 

つまり、欠格事由に該当する罪を過去に犯した場合でも、執行猶予を無事終えた場合や5年間まじめに生活を起こることで古物商の許可を取得することができるようになるわけです。

古物商許可の欠格事由その4
暴力団員等

 

最近では暴力団員等による組織的な自動車の窃盗などが行われており、古物商という古物営業の資格が悪用される危険性が高くなっています。

 

そこで、これまでは暴力団等を排除する規定はありませんでしたが、平成30年10月24日から古物商許可の欠格事由として暴力団等も追加されることになりました。

 

そして、古物商の欠格事由に該当する暴力団員等とは以下のような者をいいます。

暴力団員等に該当する者

  • 暴力団員
  • 暴力団でなくなってから5年を経過していない者
  • 暴力団と同じような犯罪的組織
  • 過去10年間に暴力的不法行為等を行った者
  • 暴力団のような暴力的不法行為等を行って公安委員会から指示・命令を受けて3年が経過していない者

 

そして、ここでのポイントとしては、欠格事由が暴力団員だけに限定されているわけではなく、暴力団のような暴力的不法行為を行う組織の者や、暴力的不法行為を行った者に対しても同様に欠格事由に該当するとされています。

 

因みに過去に暴力団員だった場合や、暴力的不法行為を行う組織にいた人でも、足を洗って一定期間経過した場合には古物商の許可を取得することが出来るようになります。

古物商許可の欠格事由その5
住居の定まらない者

住所の定まらない者とは、住民票に記載されている住所と実際に住んでいる住所が違う場合を指します。

 

古物商の許可を申請する際に、必要書類に現在住んでいる住所を記載するのですが、それと併せて住民票を添付書類として提出する必要があります。

 

その際に、現住所と住民票の住所が一致しない場合には、住所の定まらない者として不許可になってしまう可能性があるのです。

 

ただし、現住所と住民票の住所が一致していなければ、必ず不許可になるというわではなく、合理的な理由がある場合には例外として認められる場合が有ります。

 

例えば、一時的に別居している場合や、住居の建て替えで一時的に仮住まいに住んでいる場合などです。

 

その場合には、それらの証拠を提出することで住所の定まらない者の例外として認められる可能性があります。

 

ですので、もし仮に合理的な理由もなく、住民票の変更届を怠っていて現住所と住民票の住所が一致しない場合には、先に変更届を提出してから古物商の許可申請を提出することをおすすめします。

古物商許可の欠格事由その6
古物商の許可を取り消された者

古物商の許可を取り消されてから5年間が経過していない者に関しても欠格事由となっています。

 

何らかの違反に対して古物商の許可の取り消し処分を行ったにもかかわらず、何の制約もなく再び古物商の許可が取得できるのでは意味がないからです。

 

ですので、古物商の許可を取り消された者は、取り消されてから5年が経過するまでは古物商の許可を取得することが出来ません。

 

ただし、この欠格事由に関しても例外が存在します。

 

それは、違反によって古物商の許可が取り消されたのではなく、古物営業の廃業などを理由で“自ら古物許可証を返却”して許可が取り消されたような場合です。

 

例えば、以前は古物営業を行っていたけど、別事業が忙しくなって、古物営業を廃業して古物商許可証を返却したような場合です。

 

この場合には、5年などの制限期間は一切なく、すぐにでも古物商の許可を取得することが出来ます。

古物商許可の欠格事由その7
違反後に古物商の許可証を返納した者

一方で、何らかの違反により古物商の許可が取り消され、取り消し処分が確定するまでに古物商の許可証を返却したとしても欠格事由に該当します。

 

上記⑥では“自ら古物許可証を返却”した場合には、古物商の許可をすると解説しましたが、これはあくまでも何の違反もなかった場合です。

 

ですので、違反等により処分を受けてしまった場合には、その後に自主的に許可証などを返却しても5年間は欠格事由に該当します。

古物商許可の欠格事由その8
未成年者

 

20歳未満の未成年者に関しても古物商許可の欠格事由に該当します。

 

これは、未成年者は保護者や親権者の同意等がなければ、売買などの契約を行うことが出来ないからです。

 

ただし、未成年者の場合でも以下に該当する場合には古物商の許可を取得することが出来ます。

未成年の例外

  • 既に結婚している場合
  • 古物商を相続した場合
  • 法定代理人から営業の許可を受けている場合

未成年者が婚姻している場合には、成年擬制といって成年に達した者として法律で扱われるようになります。

 

つまり、未成年であっても成年と同じように法律行為が出来るようになるので、古物商の許可の取得も認められるのです。

 

又、古物商を未成年が相続した場合や親などから営業の許可を受けた場合にも、古物商の許可を取得することが出来ます。

 

ただし、未成年が商人として営業を行う場合には、未成年登記簿への登記が義務づけられていますので、その点は注意が必要です。

古物商許可の欠格事由その9
不適任な管理者を選任した者

 

古物商は古物営業を適正に実施するために、各営業所に管理者を選任しなければなりません。

 

そして、以下に該当する場合する者は管理者になることが出来ません。

管理者になれない者

  • 未成年者
  • 古物営業に必要な能力を有していない
  • 破産者で復権を得ない者
  • 一定の犯罪者
  • 暴力団員等
  • 住居の定まらない者
  • 古物商の許可を過去に取り消された者
  • 違反後に古物商の許可証を返納した者

 

「あれ?どこかで見覚えがあるな・・・」って思ったんじゃないでしょうか?

 

そうなんです、営業所の管理者の欠格事由は古物商許可の欠格事由とほぼ同じなのです。

 

つまり、欠格事由によって古物商の許可を取得することが出来ない人は、営業所の管理者にもなることは出来ないのです。

 

そして、そういった管理者の欠格事由に該当する人を管理人として選任して古物商の許可申請をした場合には不許可をされてしまします。

古物商許可の欠格事由その10
法人の役員が①~⑧に該当する場合

 

そもそも、法人(会社)と役員は全く別人格なので、法人には法人の権利や義務があります。

 

つまり、法人が古物商の許可を取得することも可能なのです。

 

しかし、それでは古物商の許可の欠格事由に該当する人は、法人を設立して法人に古物商の許可を取得させることが出来てしまいます。

 

そうなると、古物営業法で許可制を設けている意味がなくなってしまうので、古物商の許可を取得する法人が欠格事由に該当しない場合に古物商の取得を認めているのです

 

よって、法人の役員がここまでに紹介した古物商許可の欠格事由に該当する場合には、古物商の許可を取得できません。

 

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古物商の条件を満たさない場合には
不許可となり申請費用は返金されない

 

ここまでに古物商許可の10の欠格事由について紹介してきましたが、これらのどれか1つでも該当した場合に古物商の許可申請をしても不許可となってしまいます。

 

ですので、古物商の許可を申請する場合には、申請前に自分は欠格事由に該当していないかをしっかりと確認する必要があります。

 

そして、もし古物商許可の欠格事由に該当するにも関わらず、許可申請をしてしまった場合には申請時に支払った費用は返却されません。

 

具体的には、以下の費用が無駄になってしまうわけです。

 

  • 申請手数料・・・19,000円
  • 住民票・身分証明書交付手数料・・・600円
  • 交通費・その他費用・・・2,000円前後

 

なので、自分が欠格事由に該当するかもしれない場合や、確実に古物商の許可を取得したい場合には、事前に警察署や行政書士などの古物商の専門家に相談することをおすすめします。

古物商の許可取得後は取り消し事由になる

 

ここまででは古物商の許可を取得する上での欠格事由について解説してきました。

 

これらの欠格事由に該当しなければ、基本的にほとんどの人は古物商の許可を取得することが出来ます。

 

ただし、古物商の許可を取得できれば欠格事由はそれ以後関係なくなるのかというと、決してそうではありません。

 

なぜなら、古物商の許可を取得後に、上記で紹介した欠格事由に該当することにってしまった場合には古物商の許可の取り消されてしまうからです。

 

つまり、古物商の許可を取得した後においては、欠格事由に挙げられている事項は古物商許可の取り消し事由となるので注意が必要です。

古物商許可の要件と10の欠格事由まとめ

この記事のまとめ

  • 古物商許可の要件は適正な申請書と欠格事由の有無
  • 1つでも欠格事由に該当すると古物商の許可は下りない
  • 過去に欠格事由に該当していても一定期間が経過すれ古物商の許可を取得できる
  • 不許可になると20,000円前後の申請費用も返金されない

 

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