この記事を書いた人
行政書士兼ウェブマーケター。ナガシマガジン運営者。サラリーマンとして働きながらウェブマーケティング会社を起業し独立。更にその後、仕事をしながら5カ月の勉強期間で行政書士試験に一発合格し、行政書士事務所を開業。
行政書士と宅建はどっちの方が難しい?
行政書士と宅建の年収はどれぐらい?
行政書士と宅建のどっちを取得したらいい?
行政書士と宅建は同じ法律に関する資格で、ダブルライセンスを取得している人も多いことから行政書士と宅建士が比較されやすく、どちらを取得しようか悩んでいる人も多いと思います。
ただし、結論から言うと行政書士試験と宅建のどちらを取得した方が良いのかは資格取得の目的によって変わります。
例えば、就職・転職に有利になる為に資格を取得するのであれば宅建を取得した方が良いですし、将来は独立開業したいのであれば行政書士を取得すべきなのです。
因みに、通信講座や予備校の中には宅建を取得してから、行政書士試験を取得した方が合格しやすいと言われていたりもするのですが、それはそれぞれの資格の講座や模試を購入させるためにそう言っているだけで、実際には宅建を取得したからと言って行政書士試験に合格しやすいという事はないので騙されないでくださいね。
この記事では上記のような疑問について行政書士と宅建士の資格取得の難易度や年収などを比較しながら、それぞれの資格について解説していきます。
以下で紹介する偏差値・勉強時間・平均年収等は、当ブログが独自に調査した結果に基づいて紹介しています。
行政書士と宅建の難易度を比較
行政書士試験と宅建試験の難易度を比較した場合には、行政書士試験の方が難しいです。
以下では行政書士試験と宅建試験の難易度をいろいろな点を比較しながら解説していきます。
行政書士と宅建の偏差値を比較
行政書士 | 宅建 | |
偏差値 | 62 | 56 |
大学入試などの時によく大学の難易度の指標として用いられるのが偏差値です。
ただ、大学入試とは違って資格試験は資格の種類によって受験者の属性が違うので、一般的な指標として偏差値を算出することは難しいです。
なので、上記に記載している偏差値に関してはあくまでも目安としての数字になりますが、行政書士試験は偏差値が62程度、宅建は56程度ぐらいだと考えるとイメージしやすいと思います。
行政書士と宅建の受験者数・合格者数・合格率を比較
行政書士 | 宅建 | |
受験者数 | 4万人前後 | 20万人前後 |
合格者数 | 4千人前後 | 3万人前後 |
合格率 | 10~12% | 15~17% |
行政書士試験と宅建では合格率だけを見ると、そこまで大きな違いはありませんが受験者数と合格者集の内容を見ると大きな違いがあることが分かります。
宅建というのは、資格の中でも最もメジャーな資格の1つで、難易度もそこまで高くない上に就職や転職に役立つ資格ともいわれているので、毎年20万人前後の人が受験します。
となると、あまり勉強していない人でも、とにかく受験してみようというような人の数もかなり多いので、受験者全体の質はそこまで高くはありません。
一方、行政書士試験は、近年は難化傾向にある上に、宅建のように就職や転職に役立つ資格というワケでもないので、行政書士を目指して受験する人が多く、宅建よりは受験者全体の質は上がります。
ということは、しっかりと勉強した上に受験に臨んでいる人の割合が行政書士試験の方が多いので、行政書士と宅建では合格率にはそこまでの違いないけど行政書士試験の方が合格しにくいということが分かります。
行政書士と宅建の試験科目を比較
行政書士 | 宅建 | |
試験科目 | 基礎法学/憲法/民法/行政法/商法/IT情報通信・個人情報保護法/一般知識 | 権利関係(民法)/宅建業法/法令上の制限/税その他 |
試験の出題範囲に関しては宅建よりも行政書士試験の方が出題範囲が広い上、宅建の方が基礎知識が出題される傾向にあるので試験自体の難易度も宅建の方が優しいです。
また、行政書士試験と宅建試験で唯一共通している科目が民法ですが、宅建と行政書士試験でも出題傾向が全然違います。
宅建に関しては建物の権利に関係する物件がメインで、債権や家族・親族法などはほとんど出題されることはありません。
一方で、行政書士試験に関しては民法全般が出題され、しかも基礎知識だけではなく深い知識も要求されます。
行政書士と宅建の出題形式を比較
行政書士 | 宅建 | |
出題形式 | 五者択一式、多肢選択式、記述式 | 四者択一式 |
出題数 | 60問 | 50問 |
宅建試験に関しては全部が四者択一式なので、全くわからなくて適当に回答したとしても正解する確率が25%はあります。
一方、行政書士試験に関しては五者択一式なので、仮に全く分からなくて適当に回答したとしても正解する確率は20%となり、単純にそれだけでも行政書士試験の方が正解する確率が低いです。
しかも、行政書士試験で5者択一形式で出題されるのは全体の3分の2程度で、残り3分の1に関しては多肢選択式と記述式になるので適当に回答しての正解する可能性はかなり低いです。
となると、四者択一式と五者択一式という違いだけでも行政書士試験の方が難易度が高い上に、多肢絵選択式や記述式などの運任せでは正解できない問題がある点も考えると行政書士試験の問題の方が難しいと言えます。
行政書士と宅建の合格基準点を比較
行政書士 | 宅建 | |
合格基準 | 180点/300点満点 | 35点前後/50点満点 |
足切りライン | 一般知識14問中6問正解 | 特になし |
評価基準 | 絶対評価 | 相対評価 |
行政書士試験は300点満点中、180点以上を取ると合格できる絶対評価制が採用されています。
つまり、試験問題が難しければ合格者数は減少してしまいますし、試験問題が簡単であれば合格者数は増加するというように、試験問題の難易度に大きく左右されます。
ただし、絶対評価ではあるのですが行政書士試験の一般知識科目で14問中6問以上正解しなければ、仮に合格基準点の180点以上を獲得したとしても不合格になってしまう足切りラインが設定されているという点には注意が必要です。
一方で、宅建に関しては相対評価制が採用されているので、宅建試験の問題の難易度によって合格者数にそこまで違いはありません。
逆に言うと、〇点獲得すれば良いという基準点がないので、受験者の質が上がれば必然的に合格の難易度が上がってしまうことになります。
行政書士と宅建の勉強時間を比較
行政書士 | 宅建 | |
学習時間 | 600~800時間 | 350~400時間 |
行政書士試験の合格に必要な平均的な勉強時間は600~800時間程度と言われていますが、仕事などをしながらだと1日数時間程度しか勉強時間を割けないので1年程度の勉強期間が必要となります。
一方、宅建に関しては勉強時間が350~400時間なので、仮に1日数時間しか勉強時間を確保できなくても半年程度の勉強期間で合格することが可能です。
この合格に必要な学習時間だけを確認しても、宅建よりも行政書士試験の方が難易度が高いということがわかると思います。
行政書士と宅建の仕事内容を比較
行政書士の仕事内容
- 法人設立手続き関係の業務
- 許認可申請業務
- 外国人雇用申請業務
- 各種契約書作成業務
- 遺言・遺産相続に関する業務
- その他
行政書士は資格取得後は独立開業して仕事を行うことになるのがほとんどです。
行政書士の主な仕事は『行政』に提出する書類の作成や許認可に関する代理申請で、これらの業務に関しては行政書士の独占業務となっているので行政書士以外が行うことはでいません。
又、どのほかにも他の士業の独占業務となっていない仕事に関しても、行政書士の業務として行うことが出来ます。
補足
ただし、行政に提出書類でも、他の法律において制限されている書類については作成できません。
宅建士の仕事内容
- 不動産売買の仲介
- 不動産賃貸の仲介
- 不動産売買・賃貸の契約書作成
- 不動産の重要事項の説明
- その他
行政書士と違って宅建を宅地建物取引業者で働く人がほとんどです。
宅地建物取引業者というのはいわゆる不動産関係の会社で従業員として働くパターンです。
また、不動産の重要事項の説明や不動産の重要事項の記名・押印に関しては宅建士の独占業務とされているので、宅建士の資格を持っている人しか行うことが出来ません。
行政書士と宅建の平均年収を比較
行政書士 | 宅建 | |
平均年収 | 400~450万円 | 320万円~540万円 |
行政書士と宅建士の平均年収を比較した場合に宅建士の方が平均年収はほとんど変わりません。
行政書士の方が資格取得の難易度が高いのに、なぜ平均年収にほとんど変わりがないのというと、理由は簡単で働き方が違うからです。
宅建士の場合には、基本的にはどこかの企業で働くことになるので、宅建士の平均年収はサラリーマンの平均年収とほぼ同じになります。
一方で、行政書士に関しては基本的には独立・開業して自営業として働くことになるので、年収が数千万円の人もいれば、年収が200~300万円ぐらい人も普通にたくさんいます。
また、行政書士事務所で雇用されて働く場合にも、一般的な企業よりも待遇がわるい事務所が多いので一般的なサラリーマンよりも平均年収が低くなってしまいます。
ま~、行政書士の年収に関して詳しくは『行政書士の平均年収を4,338人のアンケート調査から徹底分析!』の記事で紹介しているので、気になるかたは是非そちらも参考にしてみてください。
行政書士と宅建はどっちを取得すべき?
行政書士と宅建のどちらを取得すべきかというと、資格取得の目的によってどちらを取得すべきかが変わります。
例えば、就職や転職を有利にするために資格を取得するのであれば、行政書士よりも宅建の方が向いています。
逆に、資格を取得してその資格をいかして独立開業したいというのであれば、行政書士を取得した方が良いと言えます。
因みに、行政書士試験は宅建よりも資格取得の難易度は高いですが、転職や就職にはほとんど有利にならないので、転職・就職を考えて資格を取得なら、宅建を取得した方が良いと言えます。
行政書士と宅建の兼業は有利?
行政書士として独立開業する上で行政書士と宅建の兼業は有利かというと、宅建の資格がないよりは合った方が良いという程度だと言えます。
とはいうものの、行政書士の仕事の中には飲食店の営業許可や、農地転用の許可などの不動産と関係のある業務もあり、相続や離婚に伴って不動産の売買などが必要な場合には、宅建士の資格が有利となることもあります。
ま~、それらはあくまでも行政書士業務の一部の業務において宅建士の知識が合った方が有利だというのであって、それ以外の業務においてはあまりメリットはありません。
なので、実際に行政書士と宅建のダブルライセンスを取得している人は多いですが、行政書士と宅建士を兼業している人は少ないです。
だから、「行政書士と宅建士のダブルライセンスは有利になるはず!」という思い込みで両方の資格取得を目指さない方がいいです。
というか、行政書士として働いている上で、宅建士の資格が必要になればとればいいだけで、前もって絶対にダブルライセンスを取ろうとするのは転ばぬ先の杖だと思います。
まとめ
この記事を読んでいるという事は行政書士と宅建のどちらを取得しようか悩んでいるのだと思いますが、これまででも解説したように2つの資格は似ているようで全然目的が違います。
就職や転職に有利だからという理由で資格を取得するのであれば宅建を取得すべきですし、行政書士として独立開業したいのであれば「まずは宅建を取得してから・・・」なんて言うのは時間の無駄で最初から行政書士を目指すべきです。
ハッキリ言って資格取得の難易度は関係なく、何を目的で資格を取得するのかによってどちらの資格を取得するかが必然的に決定しますよ。
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長島 雄太
NAGASHIMA行政書士事務所