古物商許可

古物営業法の改正点と古物商がやるべき届出の手続き【2020年版】

この記事を書いた人

長島 雄太

NAGASHIMA行政書士事務所

NAGASHIMA行政書士代表。取り扱い業務は古物商許可、酒類販売免許、産業廃棄物収集運搬業許可。サラリーマンとして働きながらウェブマーケティング会社を起業し独立。その後、行政書士資格を取得して行政書士事務所を開業。

 

古物営業法はどこが改正されたの?
古物商がやらないといけない届出の手続きを知りたい・・・

 

古物営業法の一部が改正される法律が平成30年に公布され、一部については平成30年10月24日から施行され、残りの規定に関しても令和2年4月1日に施行されました。

 

古物営業法で改正されたのは以下のような点です。

 

古物営業法の改正点

  • 古物営業の制限
  • 許可の簡易取り消し
  • 欠格事項の追加
  • 相手方の確認方法の追加
  • 許可単位の見直し
  • 競り売り・仮説店舗の届け出

 

そして、古物営業法が改正される前に、既に古物商の許可を取得している人は「主たる営業所変更届」を提出し、旧許可証を新許可証に切り替える手続きをしなければなりませんでした。

 

 

もし4月1日以前に古物商の許可を取得して、法改正までに「主たる営業所変更届」を提出していない人は古物商の許可が失効している可能性があります。

 

ですので、その場合には新たに古物商の許可を取得する手続きが必要となります。

 

以下では古物営業法のどの部分が改正され、又、既に古物商の許可を取得している人はどのような届け出の手続きが必要なのかについて詳しく解説していきます。

 

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古物商に関する
古物営業法の6つの改正点

今回の「古物営業法の一部を改正する法律」では、以下の6つの点が改正されました。

 

古物営業法の改正点①
古物営業の制限

 

古物営業法の改正前は、古物商は営業所や取引相手の住所以外の場所では、買取等による古物の受け取りは出来ませんでした。

 

しかし、古物営業法の改正後に関しては、事前に仮設店舗営業届出書によって日時や場所を届け出ることで、仮設店舗においても古物を受け取ることが出来るようになりました。

 

ここでいう仮設店舗とは、露店などの簡単に移転できるような営業所以外に仮に設ける店舗のことです。

ポイント

仮設店舗営業届出書を提出する公安委員会は、営業所がある所在地を管轄する公安委員会ではなく、仮設店舗を設けようとする場所を管轄する公安委員会である点に注意が必要です。

古物営業法の改正点②
許可の簡易取り消し

古物営業法の改正前は、古物商の許可の取り消しや、廃業による許可証の返納がある場合を除き、古物商の許可が効力を失う事はありませんでした。

 

しかし、古物商の中には営業所の所在地等の変更届を提出せずに所在地が不明になってしまう人も多く、そういった古物商の許可も取り消しができないので、公安委員会で古物商が完全に把握できない状況でした。

 

そうなると、古物営業法の本来の目的である「盗品の売買の防止や速やかな発見、被害の迅速な回復」等が実現できません。

 

そこで、公安委員会としては、所在不明になった古物商の許可の取り消し手続きを行うのですが、その手続きには3ヵ月以上の時間を要してしまいます。

 

しかし、それでは迅速さに欠けるので、古物営業法の改正後は簡易に許可を取り消すことができる制度が新設されました。

 

この制度により、これまで所在不明の古物商の許可の取り消しに3ヵ月以上の時間が掛かっていましたが、30日程度で簡易的に許可を取り消すことができるようになりました。

古物営業法の改正点③
欠格事由の追加

 

古物営業法の改正前は、古物商の許可申請をすれば暴力団員でも許可を取得することが出来ました。

 

しかし、暴力団員等の組織によって自動車等の窃盗などが行われ、古物商の許可が悪用されて古物商許可の意義が失われる可能性が出てきたため、暴力団員等の許可取得を規制する必要が出てきました。

 

そこで、古物営業法の改正後では以下のようなものが欠格事由として追加されました。

追加された欠格事由

  • 暴力団員
  • 暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  • 犯罪的組織の構成員で、罪をおかす恐れがあると認められる者
  • 過去10年以内に暴力的不法行為を行ったことがあり、罪をおかす恐れがあると認められる者
  • 暴対法12条による命令や指示を受けた日から3年が経過していない者

 

因みに、上記の欠格事由に該当する者で、改正以前に古物商の許可を取得している場合には、その古物商の許可は取り消されることになります。

古物営業法の改正点④
相手方の確認方法の追加

 

古物営業法の改正前においても本人確認は行われていましたが、インターネットやスマートフォンの普及により、非対面で取引する機会が増えたので、従来の方法では不便なケースも増えてきました。

 

そこで、非対面取引における相手方の確認方法が新たに追加することで、時代に適応した本人確認が認められるようになりました。

 

古物営業法の改正後に、以下のような非対面での確認方法が追加されました。

 

非対面取引で追加された確認方法

  • 身分証明書等に組み込まれたICチップに記録されている住所・氏名及び年齢、生年月日の情報の受けること
  • 古物商が使用する独自のソフトウェアによって身分証明書等の画像情報を受け取ること
  • 提出された身分確認書類等の住所宛に配達記録郵便物を送付して受け取りを確認すること
  • 本人の容貌の写真と写真付きの身分証明書のを独自ソフトウェアによって受け取ること
  • 独自ソフトウェアを使用して撮影された写真と写真付きの身分証明書うに組み込まれたICチップの住所・氏名及び年齢、生年月日の情報の受けること

古物営業法の改正点⑤
許可単位の見直し

 

古物営業法の改正前は、営業所がある都道府県ごとに古物商の許可を受ける必要がありました。

 

例えば、東京都で古物商を開業し、事業が軌道に乗り始めて横浜に営業所を開設しようとする場合には、東京で取得した古物商許可とは別に新たに横浜で古物商の許可を取得しなければならなかったのです。

 

しかし、これでは営業範囲を広くしていけば広くしていくほど、古物商への負担も大きくなってしまうので、その負担を軽減するために許可単位の見直しが行われました。

 

そして、古物営業法の改正後に関しては、主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会の許可を受けていれば、他県で営業所を開設する場合でもわざわざ許可を取る必要がなくなりました。

 

また、改正前では法人の役員の変更等があった場合には、古物商の許可を受けた全ての公安委員会に変更届を提出する必要がありましたが、改正後については主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会か営業所の所在地を管轄する公安委員会かのどちらか1つに提出するだけでよくなりました。

古物営業法の改正点⑥
競り売り・仮説店舗の届け出

 

古物営業法の改正前は、営業所がある都道府県とは違う県でせり売りをしようとする場合には届け出をしなければならず、その届け出はせり売りを行う都道府県を管轄する公安委員会に対してのみ認められていました。

 

しかし、古物営業法の改正後には、営業所がある都道府県の公安委員会に対しても、せり売りを行う都道府県を管轄する公安委員会に対しても認められるようになりました。

 

また、せり売りと同様に、他県で仮設店舗を設ける場合の届け出の提出先に関しても、営業所がある都道府県の公安委員会、もしくは仮設店舗を設ける都道府県を管轄する公安委員会のどちらに対してでも認められます。

古物商がやらないといけない
届出と手続きの方法

 

古物営業法はここまでで解説してきた内容に2020年4月1日に改正されました。

 

そして、実は法改正以前に古物商の許可を取得していた人は、改正法が施工される前に「主たる営業所変更届」を提出する必要がありました。

 

この「主たる営業所変更届」とは、いくつかある営業所の中から主たる営業所とそれ以外の営業所の名前と場所を届け出る物です。

 

しかも、営業所が1つしかない場合に関しても、この「主たる営業所変更届」を届け出なければなりません。

 

そして、もし法改正前に古物商の許可を取得していて、「主たる営業所変更届」を提出していない場合には、古物商の許可が失効してしまいます。

 

ですので、その場合には、古物営業を継続するために改めて新規に古物商の許可を取得する手続きを経なければなりません。

古物営業法の改正点と
古物商がやるべき届け出の手続きまとめ

この記事のまとめ

  • 一度でも一般消費者の手に渡ったモノを販売する場合には古物商の許可が必要
  • 自分が海外の現地で仕入れた輸入品を販売する場合には不要
  • ネット経由で海外業者から古物を仕入れる場合には警察に要確認
  • チケット転売に関しては古物商の許可を持っていても違法となる場合がある

 

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