行政書士

行政書士の合格後に登録しないとどうなる?名刺や履歴書はどうすればいい?

この記事を書いた人

長島 雄太

NAGASHIMA行政書士事務所

行政書士兼ウェブマーケター。ナガシマガジン運営者。サラリーマンとして働きながらウェブマーケティング会社を起業し独立。更にその後、仕事をしながら5カ月の勉強期間で行政書士試験に一発合格し、行政書士事務所を開業。

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行政書士試験に合格したら必ず行政書士会に登録しなければならないかというと、決してそういうわけではなく、登録しないこともできます。

 

実際に、行政書士に合格した人の半分以上は行政書士として登録していません。

 

となると、その時に気になるのは、合格後に行政書士に登録しないとどうなってしまうのかです。

 

結論を言うと、行政書士に登録しないと行政書士を名乗ることは出来ません。

 

ただ、それ以外にも、行政書士試験に合格してから、数年後に行政書士会にいきなり登録できるのかや、登録しない場合に、名刺や履歴書にはどのように記載すればいいのか気になると思います。

 

以下では、行政書士の合格後に登録しなかったらどうなるのかや、名刺や履歴書にどのように記載すればいいのかについて詳しく解説していきます。

行政書士に合格した人の
半数以上は登録していない

平成28年度試験の合格者数 平成29年度登録者数
人数 4,084 2,385人

 

上記は、平成28年度の行政書士試験に合格した人数と、平成29年に新規に行政書士会に登録した人の人数です。

 

平成28年度の行政書士試験に合格した人は4084人で、平成29年度中に新規で行政書士会に登録した人の数は2,385人です。

 

そして、この平成29年度中に新規で行政書士会に登録した人すべてが行政書士試験に合格した人というワケではなく、税理士や弁護士などの他の資格を保有していることによる試験免除者もいます。

 

では、実際に新規で登録した人の内訳はどうなっているのかというと、以下のようになっています。

 

試験合格者 弁護士 弁理士 公認会計士 税理士 公務員
新規登録者数 1,671人 10人 3人 24人 303人 374人

 

つまり、平成29年度中に新規で行政書士会に登録した人の内、1671人だけが行政書士試験合格者というわけなのです。

 

となると、平成28年度の行政書士試験合格者は4,084人なので、行政書士試験合格者の半数以下は行政書士会に登録していないというわけです。

 

もちろん、28年度の行政書士試験に合格して29年度に登録せずに30年度以降に登録する人もいるかもしれませんが、毎年の行政書士試験合格者の登録数が1500~2000人程度と一定数なので他の年でもほとんど同じです。

なぜ、こんなに多くの人が
行政書士会に登録しないのか?

 

行政書士の資格は国家資格の中でも難関資格に分類される資格で、資格を取得するのに半年~1年程度の勉強は必要となります。

 

そして、せっかくそれだけ頑張って勉強して難しい試験に合格したにもかかわらず、合格者の半数以上が行政書士として登録していません。

 

一部の合格者だけが登録しないというのであればまだ理解はできますが、半数以上となるとさすがに理解しがたいですよね?

 

なぜ、こんなに多くの人が行政書士会に登録しないのか?

 

その理由は、行政書士会の会費や年会費を合わせた登録料が高額だからです。

 

行政書士試験に合格後に行政書士として活動するためには、各都道府県の行政書士会に登録する必要があるわけですが、その際に以下のような費用が必要となります。

 

  • 登録料・・・25,000円
  • 登録免許税・・・30,000円
  • 入会金・・・100,000~250,000円
  • 月会費前払い3カ月分・・・12,000円~21,000円

 

つまり、行政書士会に登録するだけで最低でも17万円~32万円も必要になるのです。

 

登録するだけでこれだけの費用が必要となるのであれば、安易に登録しようと考える人も少ないわけです。

 

因みに、なぜ17万円~32万円と15万円も幅があるのかというと、各都道府県によって入会金や月会費の価格が違うからです。

 

各都道府県の年会費や月会費に関する詳細を知りたい場合には、以下の記事を参考にしてください。

行政書士の合格後に
登録しないとどうなる?

 

結論から言うと、行政書士に登録しないと行政書士を名乗ることは出来ません。

 

というのも、行政書士試験の合格はあくまでも行政書士になる資格を取得することができるのであって、行政書士会に登録しなければ行政書士として業務を行うことが出来ないからです。

 

この点に関しては、行政書士法の第六条1項に定められています。

 

行政書士法第六条

行政書士となる資格を有する者が、行政書士となるには、行政書士名簿に、住所、氏名、生年月日、事務所の名称及び所在地その他日本行政書士会連合会の会則で定める事項の登録を受けなければならない。

 

そして、行政書士会に登録していないにもかかわらず、行政書士を名乗った場合には違法となるので注意が必要です。

 

この点に関しては行政書士法の第十九条の二に定められています。

 

行政書士法第十九条の二

行政書士でない者は、行政書士又はこれと紛らわしい名称を用いてはならない。

 

というように、基本的には行政書士に登録しなかった場合には、行政書士を名乗ることが出来ないだけで、それ以外にデメリットはありません。

行政書士の合格後に登録しなかった場合に
名刺や履歴書はどうすればいい?

 

上記でも解説したように、行政書士会に登録しなければ行政書士と名乗ることは出来ません。

 

しかも、行政書士法の19条の2では「行政書士又はこれと紛らわしい名称を用いてはならない。」と規定されているので、登録しない場合に名刺や履歴書にどのように表記するかが難しいところです。

 

では、一体どのように名刺や履歴書に記載すればいいのかというと、「行政書士試験合格」、「○○年行政書士試験合格」、「行政書士試験合格者」などのように、行政書士ではないと明らかに分かるように記載しておけば問題ないと思います。

 

逆にいうと、「行政書士有資格者」、「行政書士の有資格者」といった表記は避けた方がいいかもしれません。

 

一見、これらの表現は「行政書士」とは別物のように感じますが、資格に詳しくない人に対しては誤解を招く表現として捉えられるかもしれないからです。

 

もちろん、これだけで直ちに違法となることはないでしょうが、この行政書士法19条の趣旨は顧客の利益を損なわないようにするためや、行政書士業界の信用を損なわないようにするための趣旨で設けられているので、自分にはその意思がなくても相手が行政書士だと誤解してしまった場合には違法と判断される可能性もあるからです。

 

因みに、第19条1項や第19条の2に違反した者は「百万円以下の罰金に処する。」とされています。

行政書士は更新期限や登録期限はある?

 

行政書士に登録しない場合に気になるのが、行政書士試験に合格後にどれぐらいの期間内に登録しなければいけないのかや、更新などは必要なのかです。

 

ただ、行政書士には更新期限や登録期限などはありません。

 

なので、行政書士試験に合格したのであれば、いつでも行政書士会に登録することが可能です。

 

ただ、行政書士会に登録する際には合格発表後に送られてくる合格証が必要となるので、行政書士会にすぐに登録しない場合には大切に保管しておく必要があります。

 

因みに、この合格証は紛失してしまった場合には再発行が出来ません。

 

ま~、とはいえ、仮に紛失してしまった場合でも、合格証に代わるものとして合格証明書を発行してもらうことが出来るので行政書士として登録できなくなってしまうわけではありません。

行政書士に登録しないなら
行政書士を取らない方がいいかも・・・

 

また、もしあなたが行政書士試験に合格した場合に、行政書士の登録をしないでおこうと考えているのであれば、そもそも行政書士試験の受験はお勧めしません。

 

そもそも、資格というのはあることをするのに必要な条件として設けられているものです。

 

これは行政書士資格でいう、行政書士になることで行政書士の独占業務を行うことが出来る資格なわけです。

 

つまり、ハッキリ言って、行政書士にならないのであれば行政書士の資格を取得してもあまり意味がないのです。

 

もちろん、行政書士に興味があったり、資格取得が趣味という人は別です。

 

しかし、合格者の半数以上が登録していないことから推測すると、さすがに半数以上が趣味で受験しているとは考えにくいです。

 

しかも、合格者数の割合だけで半数以上なので、受験者全体で言うと7~8割ぐらいが行政書士になるつもりがないのに受験していると言えるかもしれません。

 

となると、恐らくほとんどの人は「キャリアアップに良い」「就職や転職に有利」の為に行政書士試験を受験しているのだと思いますが、一部の人を除いては行政書士試験に合格したからと言ってキャリアアップや転職・就職に有利という事はありません。

 

この点に関しては詳しくは『【資格ビジネスのカモ】行政書士は資格だけ取っても無駄な理由』の記事でも書いているので、是非参考にしてみてください。

 

まとめ

 

行政書士試験の合格後に行政書士会に登録しないということは全然アリだと思います。

 

行政書士として活動しないのであれば、わざわざ高いお金を出して月会費や登録料を支払うのは勿体ないですからね。

 

ただ、その場合には行政書士として名乗れないので、名刺や履歴書を記載する際には、紛らわしい表現で行政書士であると相手に誤解されないように表記するように注意してた方が良いですね。

 

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