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行政書士兼ウェブマーケター。ナガシマガジン運営者。サラリーマンとして働きながらウェブマーケティング会社を起業し独立。更にその後、仕事をしながら5カ月の勉強期間で行政書士試験に一発合格し、行政書士事務所を開業。
行政書士の資格を取得するうえで気になるのが、実際に行政書士として働いている人の給料だと思います。
では、実際に事務所勤めの行政書士の給料はどれぐらいなのかというと・・・平均300~350万円前後と安いです。
なぜ、こんなにも事務所勤務の行政書士の給料が安いのかというと、正社員としての需要がほとんどないからです。
以下では、事務所勤めの行政書士の平均年収と、平均年収が安い理由について詳しく解説しています。
行政書士の平均的な給料の相場は250~350万と安い
行政書士としての働き方は、自分で独立開業して働くか、どこかの事務所で正社員として働くかの2種類があります。
そして、事務所で正社員として働く場合の行政書士の給料の相場は300~400万円とかなり安いです。
月々の給料に換算すると25万~30万円程度なので、大手企業の大卒初任給とほとんど変わらない程度です。
また、日本の会社員の平均年収は440万円前後なので、一般的な企業勤めのサラリーマンの給料よりも安い傾向にあります。
給料相場の算出方法について
上記で紹介している給料の相場については、行政書士の求人条件である給料の情報を一定数ランダムで抽出し、その給与水準を元に算出しているので地域別での差はあるかもしれませんが、かなり実情に近いと思います。
事務所勤めの行政書士の給料が安い理由
行政書士試験というのは国家資格の中でも難関資格と言われるほど、取得するのが難しい資格です。
それにもかかわらず、事務所勤めで行政書士として働くとなぜこんなにも給料が安いのか?
その理由は以下の2つが大きく影響しています。
- 行政書士の求人が少ないから
- 補助者で代用が可能だから
行政書士の求人が少ないから
例えば、弁護士や税理士、司法書士や社会保険労務士などは事務所に勤めて実務経験を積んでから開業するのが一般的です。
しかし、行政書士というのは基本的には、資格取得後に独立開業するのが一般的です。
というよりは、むしろ行政書士の求人が少ないので、行政書士として働く場合には独立開業せざるを得ないのです。
行政書士の求人が少ないということは、【求人数<就職希望者】という買い手市場になるので、待遇が悪くても一定数の人材が集まるのです。
となると、事務所で勤務する行政書士の給料は低くなってしまうというわけです。
補助者で代用が可能だから
では、なぜ他の士業に比べて行政書士の求人が少ないのかというと、補助者である程度は代用が可能だからです。
補助者というのは行政書士のサポートする事務員の事です。
補助者になる場合、行政書士の資格は必要なのですが、行政書士会に補助者として登録する必要があります。
そして、補助者として登録すると、書類作成の手伝いや顧客対応、官公署への書類提出なども行政書士の補助業務として行えます。
つまり、事務所内に行政書士が1人いれば、あとは補助者に行政書士業務を補助してもえるので、わざわざ行政書士有資格者を雇う必要がないのです。
しかも、行政書士資格は独立開業できる資格なので、有資格者を雇うと、業務を覚えたら事務所を辞めて自分で独立開業するというリスクがあります。
未経験者にいろいろと手取り足取り業務を教えて、仕事をやっと覚えたと思ったら事務所を辞めて独立となると行政書士の有資格者を雇う事はメリットどころかデメリットしかないですからね。
その点、補助者は仕事を覚えても独立開業は出来ないのでそういったリスクはないから、事務所としても有資格者よりも無資格者を雇いたいというわけなのです。
高い給料目当てで正社員として働くなら行政書士はおすすめしない
もちろん、事務所で勤務している行政書士の中にも年収600~800万円程度の給料が高い行政書士もいますが、そういった高い給料を貰える事務所というのは、世の中にほんの一握りしかありません。
となると、どうしても就職する上での競争倍率はかなり高く、そういった求人には優秀な人材があつまるので、未経験者で他に資格がない人が雇ってもらえる可能性はかなり低いと言えます。
なので、もし高い給料目当てで正社員働きたいと考えているのであれば行政書士になるのはおすすめしません。
逆に、お金はどうでもよくて、行政書士として働きたいならば、給料が安いという現実を知った上で目指すのであれば何も問題ありません。
独立開業すれば年収1千万円も目指せる
ここまでは行政書士が事務所で正社員として働いた場合には、給料が安いという事実について解説してきました。
ただ、誤解しないで欲しいのは行政書士のすべての人の収入が低いというわけではありません。
あくまでも、正社員として事務所で働く行政書士の給料が安いだけであって、独立開業している行政書士の中には普通に年収1千万の人がたくさんいます。
以下は日本行政書士会連合会が出版している『月刊 日本行政2018年10月号』に掲載されている年間売り上げのアンケート調査の結果です。
年間売り上げ | 人数 | 割合(平成30年) | 割合(平成25年) |
500万円未満 | 3415人 | 78.8% | 78.0% |
1000万円未満 | 492人 | 11.3% | 11.4% |
2000万円未満 | 230人 | 5.3% | 5.0% |
3000万円未満 | 80人 | 1.8% | 1.9% |
4000万円未満 | 35人 | 0.8% | 0.9% |
5000万円未満 | 23人 | 0.5% | 0.6% |
1億円未満 | 36人 | 0.8% | 0.7% |
1億円以上 | 11人 | 0.3% | 0.3% |
未回答 | 16人 | 0.4% | 1.2 % |
合計 | 4338人 | 100% | 100% |
上記のアンケート結果を確認してもらうと分かりますが、年間の売り上げが1000万円以上の人は全体の9.4%もいます。
つまり、単純計算で10人に1人は年間売り上げが1千万を超えているというわけなのです。
ポイント
中には、年間売り上げが1千万円ということは、経費などを引く年収一千万円に届いている人は少ないのではと思うかもしれません。
しかし、行政書士の業務自体は書類の作成などの代理業務なので、基本的には仕入れなどの必要はなく利益率は高いく、売り上げと収入はそこまでかけ離れていません。
つまり、行政書士というのはどこかの事務所で正社員として働いた場合に給料は安いですが、独立開業して成功すれば年収1千万円を超えるかもと全然可能というわけです。
ただし、行政書士の独立開業も決して甘くはない
上記で紹介したように、10人中1人は年間売り上げが1千万円を超えるなら、自分も行政書士として独立開業してみようかな?と行政書士という職業に希望を持てたかもしれません。
行政書士という職業は頑張り次第でたくさんお金が稼げる職業であることは上記のアンケート結果からも明らかです。
しかし、誰でもが簡単に行政書士として独立開業して稼いでいけるほど甘い世界ではありません。
というのも、総務省の調べによると、行政書士試験に合格して行政書士会に新規で登録した人の70%が毎年1年で廃業していることがデータとして出ています。
つまり、新規で行政書士として登録した10人中7人は1年で行政書士を辞めてしまっているわけなのです。
まとめ
行政書士は資格取得の難易度が高いにもかかわらず事務所の正社員として働いた場合には、一般的な企業の正社員の給料よりも悪いので割に合わない資格と言えます。
なので、もしあなたが事務所に雇われる行政書士として働こうと考えているのであれば、その現実はしっかりと理解しておいた方が良いと思います。
逆に、行政書士として独立開業する場合には、決して簡単とは言えませんが頑張り次第では年収1千万円以上も目指せる資格なので、行政書士になるなら独立開業するのがおすすめだと個人的には思います。
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長島 雄太
NAGASHIMA行政書士事務所