行政書士開業

《初心者でもわかる》行政書士のためのマーケティング7step戦略!

この記事を書いた人

長島 雄太

NAGASHIMA行政書士事務所

行政書士兼ウェブマーケター。ナガシマガジン運営者。サラリーマンとして働きながらウェブマーケティング会社を起業し独立。更にその後、仕事をしながら5カ月の勉強期間で行政書士試験に一発合格し、行政書士事務所を開業。

⇒プロフィールの詳細こちら
⇒YouTubeチャンネルはこちら
⇒X(旧twitter)はこちら

 

以前に『行政書士が食えない本当の理由』という内容の記事で、行政書士におけるマーケティングの重要性について解説しました。

 

もしかしたら、その記事を読んでマーケティングの重要性に気づいてくださったのかもしれまし、もともとビジネスにおけるマーケティングの重要性を理解されていたのかもしれません。

 

どちらにしろ、この記事を読んでいるあなたは、行政書士におけるマーケティングの重要性を理解していて、マーケティングを学ぼうとしているのだと思います。

 

しかし、マーケティングを学ぶ上で注意しなければならないのは、企業におけるマーケティングと行政書士のような個人事業主におけるマーケティングは若干違うという点です。

 

そして、世間一般で販売されているマーケティングに関する書籍の多くは企業向けのマーケティングについて書かれています。

 

ですので、それらの書籍を読んでマーケティングを勉強したとしても、なかなかダイレクトに行政書士業務に活かしにくいのです。

 

そこで、この記事では行政書士のような個人事業主でも活用できるマーケティングの知識について、マーケティングの初心者でもわかりやすいように解説していきたいと思います。

一般的な企業のマーケティングと
行政書士のマーケティングの違い

 

恐らく、多くの方がマーケティングを学ぼうと思った場合、まずは書籍から学ぼうとするのではないでしょうか?

 

有名なところで言うと、マーケティング界の第一人者とも言われる「フィリップ・コトラー」や、マネージメントでも有名な「ピーター・ドラッカー」などの書籍を買って勉強する人も多いと思います。

 

勿論、それ以外にも日本国内でマーケティングに関する書籍が多数販売されていますが、基本的にはコトラーやドラッガーなどの書籍をより具体的に分かりやすく解説しているものなので、記載されている内容の大枠はほとんど同じです。

 

そして、これらに書籍に書かれている内容というのは企業向けのマーケティングについて書かれており、実際に書籍内で紹介されている事例も一流企業の事例が多いです。

 

もしかしたら、あなたもそういった書籍で以下のような点において分析が必要だと学びませんでしたか?

 

一般的なマーケテイングの分析事項

  • 3C・・・自社(Company)、顧客(Costomer)、競合(Competitor)
  • 4P・・・製品(Product)、価格(Price)、流通(Chanel)、販売促進(Promotion)
  • STP・・・顧客細分化(Segmentation)、市場選択(Targeting)、ポジショニング(Positioning)
  • VRIO・・・経済価値(Value)、希少性(Rarity)、模倣困難性(Inimitability)、組織(Organization)
  • PEST・・・Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)
  • SWOT・・・強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)・機会(Opportunities)・脅威(Threats)

 

これらは企業のマーケティングなどにおいて使われるフレームワークの一例です。

 

ただ、上記を見てもらうと分かるように、これらのフレームワークを行政書士のマーケティングに活用しよとすると、複雑で何をどうすればいいのかわからないのではないでしょうか。

 

それもそのはずで、企業が新たに事業を立ち上げるとなると、資金や人的リソースなどにおいて大きなコストが掛かってしまうので失敗した場合のリスクがあまりにも大きく、出来るだけ失敗しないように様々な点において事前に緻密な戦略を立てて事業をはじめる必要があるからです。

会社(企業) 行政書士
事業モデル ハイリスクハイリターン ローリスクローリターン
投資金額 多い 少ない
人的リソース 多い 少ない
投資時間 多い 少ない
事業の方向転換 難しい 簡単
事業の撤退 難しい 簡単
失敗のリスク 大きい 小さい

一方で、行政書士のような個人事業主の場合はというと、企業とは違って何か新しいことをはじめるのにリスクは基本的にほとんどありません。

 

企業のような緻密なマーケティング戦略を考えてから行動するよりも、ある程度シンプルですぐに実践できるマーケティング戦略を練って、トライ&エラーを繰り返してデータを集めながら精度を上げていく方が効率的なのです。

 

つまり、マーケティングの本質は変わりませんが、企業と行政書士のような個人ではマーケティングの重要な部分や捉え方が少し異なるのです。

 

行政書士のマーケティング
戦略作り7ステップ

 

以下では、行政書士のマーケティング戦略の作り方を7つのステップに分けて解説していきます。

 

因みに、この「マーケティング戦略作り7ステップ」はあくまでも私自身が学んだマーケティングの知識やこれまでの経験をもとに、行政書士向けに改良したものです。

 

ですので、100%このやり方が正しいというワケではなく、あくまでもひとつの意見として捉えてください。

 

また、もし、もっと体系的にマーケティングを学びたいのであれば、コトラーやドラッカーなどの書籍を読んで、その後に自分なりに行政書士のマーケティングへと落とし込むのが良いと思います。

step
1
リソースの棚卸

 

まず初めに行うのがリソース(資源)の棚卸です。

 

ここで言う資源というのは以下のようなモノを指します。

 

リソース(資源)

  • ・・・従業員やアルバイトなどはどれぐらいいるのか?
  • お金・・・広告費・学習費等にどらぐらいのお金を投入することができるか?
  • 時間・・・1カ月にどらぐらいの時間を仕事に費やせるのか?
  • 知識・・・どういった知識を持っているのか?
  • スキル・・・どういったスキルを持っているのか?
  • 情熱・・・どういったことに情熱をもって取り組めるのか?

 

自分のリソースをしっかりと把握することで、相手との戦い方は見えてきます。

 

例えば、自分よりも資金力のある相手であれば、それ以外のところにリソースを集中し、勝てるところで勝つという戦略をとることが出来るわけです。

 

又、リソースの棚卸をする場合には、「可視化しなくても自分の事だし、何となくわかるから大丈夫!」と思っていても紙などの書いて可視化することが大切です。

 

基本的に人の脳は一度に多くの事を考えられない作りになっているので、頭の中だけで考えると脳の容量がオーバーして、正しいリソースの棚卸ができない可能性があります。

 

パソコンを使っている時にネットや動画、エクセル、ワード、パワーポイントなどを色々開いた状態だと動作が重くなる状態と同じです。

 

ですので、リソースの棚卸は勿論ですが、これ以降の項目についても紙にメモしたり、マインドマップなどを使って戦略を練ってください。

 

step
2
目標の明確化

旅行に行こうと思った時には一番初めに目的地を決めますよね?

 

だって、目的地を決めなければ、目的地までの手段すら考えることが出来ないからです。

 

でも、行政書士を開業する場合に目的を明確にしている人は意外に少ないのではないでしょうか?

 

何となく「食べていけるだけ稼げたらいい」「何か人の役に立つ仕事でお金を稼ぎたい」「社会に貢献できる仕事ができればいい」というような抽象的な目標の人も多いと思います。

 

ただ、これだと「海外旅行に行く!」と言っているのと同じで、目標がぼんやりとし過ぎていて、目的地までの道筋を立てられません。

 

ですので、自分は行政書士としてどういった目標があるのかをより明確に具体的にする必要があります。

step
3
市場のリサーチ

 

次は市場のリサーチをしていくのですが、基本的には行政書士における業務は以下のように決まっています。

 

  • 建設業許可関連
  • 開発関連
  • 宅地不動産関連
  • 運送業関連
  • 自動車登録関連
  • 風営法関連
  • 介護・医療関連
  • 産廃関連
  • 会社法関連
  • 著作権関連国際業務関連
  • 相続関連
  • 民亊法務関連
  • 金融商品法関連
  • 医療関連営業許可
  • 営業許可関連
  • その他

 

ですので、その中から自分の目標を実現するにはどの市場か、どの市場であれば情熱を持って取り組めるのか等を考慮しながら、自分に合った参入ジャンルを選択します。

 

因みに、書籍などでは「新しく仕事を作り出せ!」などとよく言われたりもするのですが、あくまでも「建築業許可×〇〇」「国際業務×△△」と言うように、付随業務を作り出すという意味です。

 

そもそも、許認可を独自に作り出すことなんて自分でできないので、まずは既存の業務を選択すれば大丈夫です。

step
4
ポジショニング戦略

 

参入するジャンルが決まったら、ライバルリサーチ・顧客リサーチを行います。

 

具体的には以下のような内容を調べていきます。

 

リサーチ内容

  • ライバルの行政書士事務所にはどんなところがあるのか?
  • ライバル事務所の強みや弱みは?
  • どんな顧客がいるのか?
  • 顧客のニーズは何か?

 

これらの内容を踏まえた上で、自分であればライバル事務所とは違ったどんな価値を提供できるのかを考えます。

 

この時に、ステップ1で棚卸したリソースなどを参考にしながら参入市場でのポジショニングを考えます。

 

因みに、今あるリソースだけでそのポジションを取るのは無理だけど、知識やスキルを学べば取れるポジションが空いているなら狙るのもアリだと思います。

step
5
ラーニングマップ

ステップ6で考えたポジションを取るためにはどのような知識やスキルが必要なのかを洗い出します。

 

もし、今ある知識やスキルで狙っているポジションが確立できるのであれば問題ありませんが、足りない知識・スキルがあるなら身につける必要があります。

 

例えば、書籍などで知識を取得したり、別の資格を取得する必要があるかもしれません。

 

そういった、知識やスキルなどを得るための方法を全て書き出します。

step
6
マーケティングミックス

 

マーケティングミックスとはいわゆる4Pと呼ばれる部分で、どのような製品・サービス(Product)を、どのような価格帯(Price)で、どのような流通(Place)を利用して、どのように顧客に販売促進(Promotion)するのかを考えます。

 

製品・サービスについては、単純に「建設業許可申請」や「在留資格許可申請」と言った、いわゆる申請業務だけではなく、付随したサービスをなども考える必要があります。

 

行政に提出する申請書の作成だけでは、基本的に他の行政書士事務所との差別化が難しく、結局は価格競争になってしまうからです。

 

次に、価格については自分が目指すポジションに見合った価格を設定します。

 

流通に関しては、基本的には対面でのサービス提供になりますが、郵送やネットで完結できるサービスもやり方次第で可能なので、その点を考慮しながらどういった流通が適しているのかを模索します。

 

最後はプロモーションで、サービスの販売促進方法を考えます。

 

ネットで集客するのか、DMやFAXDMを使用するのか、それともチラシや営業でサービスを周知するのかなどを考えます。

 

この時に、自分が提供する製品・サービスを効率的かつ効果的に顧客に知ってもらえるプロモーションの方法は何かを検討します。

step
7
アクションプランニング

 

最後はここまでに考えた戦略を実行に移すための戦術に落とし込む段階です。

 

まずは、ステップ6で挙げた製品・サービス(Product)、価格帯(Price)、流通(Place)、販売促進(Promotion)を実現する為に必要な行動を全て書き出します。

 

次に、それぞれの行動について、いつまでにやるかを決め、週間計画にまで落とし込んでいきます。

 

あとは、その計画に従って行動を実践するだけです。

 

そして、1カ月ぐらい実践すると何らかのフィードバックがあるので、そのフィードバックをもとに戦略・戦術の改良が必要な場合は修正し、望んだ結果を得られているのであれば引き続き計画を実行していきます。

 

このように、企業で利用するような複雑なマーケティング戦略とは違って、行政書士のような個人事業主は出来るだけシンプルなマーケティング戦略で、出来るだけ早く行動に移し、PDCAサイクルを高速で回していく方がより効率的に成果を上げられる可能性が高いと思うのです。

 

以上が、行政書士のマーケティング戦略の基本的な流れです。

 

ただ、これだけでは中々実践できないと思うので、それぞれのステップについてより詳しい内容を改めて解説する記事を更新していきます。

 

行政書士のための
マーケティングの基礎知識まとめ

この記事のまとめ

  • 一般的な書籍に書かれているマーケティングは企業向け
  • 企業と行政書士のマーケティングでは若干違いがある
  • 企業向けのマーケティング戦略は行政書士に応用しにくい
  • 行政書士のマーケティング戦略はシンプルしてPDCAを高速に回すのが効率的

-行政書士開業
-