この記事を書いた人
行政書士兼ウェブマーケター。ナガシマガジン運営者。サラリーマンとして働きながらウェブマーケティング会社を起業し独立。更にその後、仕事をしながら5カ月の勉強期間で行政書士試験に一発合格し、行政書士事務所を開業。
行政書士が作成できる契約書の種類は1万種類とも言われ、取り扱う事ができる業務は多岐に渡ります。
だからこそ、新人行政書士は一体どの分野を自分の専門分野として取り組めば良いのかで、悩んでしまうケーズが多いのだと思います。
しかも、参入するジャンルによって、ライバルの強さや、売上げの上げやすさ、業務・知識の吸収のし易さが違うので、成果が出せるまでの時間に大きく影響します。
そこでこの記事では、これまでのビジネスの経験とマーケティング戦略をもとに、私が思う新人行政書士が成果を出しやすい専門分野の選び方について紹介したいと思います。
これから専門分野を選ぼう考えているのであれば、こういった選び方もあるのかという、一つの参考意見として捉えて頂ければ幸いです。
成果を出やすい専門分野を選ぶ5つの基準
私はこれまでに、物販や広告などのビジネスをしてきたのですが、その中で何度も「どんな商品を扱うのか?」や、「どんなジャンルに参入するのか?」などを選択してきました。
そして、何度もトライ&エラーを繰り返すうちに、「こうやって商品・参入ジャンルを選べば失敗しにくいのではないか?」という、成功パターンができてきました。
恐らく、これは行政書士における専門分野選びにも通じる部分があるので、私が実際に参入するジャンルを選ぶ上での5つの基準について、行政書士業務に落とし込んで紹介していきたいと思います。
- 自分の強み
- 情熱・興味
- 市場のニーズ
- 単価
- 業務の難易度
自分の強み
まず1つ目は、自分の強みを活かせる分野かどうがです。
既に、何らかの専門知識を持っているのであれば、その専門知識を活かせる分野で戦うと、ベテランの行政書士にも勝つ事が可能です。
ハッキリ言って、ほとんどの顧客は新人よりもベテランに依頼したいと思っているのは明らかです。
つまり、新人と言うだけで、既にハンディを背負っているわけなので、何かでそのハンディを埋めなければ依頼に繋がりません。
だから、出来るだけ自分の強みを活かせる分野に参入することで、新人でも同じ土俵で勝負ができるというわけです。
情熱・興味
1つ目で強みについて紹介しましたが、行政書士としてこれから開業していく上で、はじめから強みを持っている人はそんなに多くないと思います。
そこで重要となってくるのが、2つ目の、その分野に“情熱・興味”があるかどうかです。
これから、ベテランにも負けない専門的な知識を身につけていかなければならないわけですが、やはり興味があるのとないのとでは圧倒的に知識の吸収率が違います。
ですので、行政書士業務の中でも、特に自分の情熱・興味のある分野を選んだ方が知識やスキルを伸ばしやすいです。
市場のニーズ
3つ目は市場のニーズがどれだけあるかです。
冒頭でも言った通り、行政書士が作成できる書類の数は1万種類にも及びます。
しかし、だからと言って、その1万種類の書類作成の需要が均等にあるわけではなく、需要が多いものもあれば、需要が少ないものもあります。
ですので、専門分野を選ぶ場合には、その分野にどれぐらいのニーズがあるのかをしっかり把握しておいた方がいいです。
因みに、行政書士の業務のニーズを知る上では、日本行政書士会連合会が公表している『平成27年度報酬統計調査』を参考にするのがおすすめです。
報酬統計では、報酬の平均的な金額だけではなく、どの業務がどれぐらい依頼されているの目安もわかるからです。
報酬単価
4つ目の基準は報酬単価の高さです。
これは行政書士だけに限った話ではなく、ビジネス全般に言えることなのですが、単価が低い物をたくさん売るよりも、単価が高い物を少量売る方が難易度は低いのです。
例えば、100円のものを1000人に売るよりも、10万円の物を1人に売る方が簡単だったりします。
でも、多くの人は『安い物の方が売り易い』というイメージが強いので、どうしても単価の安い商品を売ろうとしてしまいます。
ですが、単価が安いということは、利益も少ないわけで、利益を出す為には薄利多売が必須です。
しかし、そもそも薄利多売は資本力のある大手の戦略であり、これから行政書士を開業しとうとする新人が取るべき戦略ではありません。
例えるなら、個人で100円ショプを出店して、ダイソーに挑むようなモノです。
さすがに、そんな無謀なことはしないですよね?
ですので、はじめは少し抵抗があるかも知れませんが、報酬単価が比較的高い業務を選んだ方が、売上を上げて利益を出しやすいです。
特に、行政書士は労働集約型のビジネスモデルなので、売り上げを大きくしたいのであれば、高単価のジャンルを狙うのは必須条件ではないでしょうか。
業務の難易度
5つ目の基準は、専門分野の取り組む業務の難易度です。
4つ目では報酬単価が高い分野を選んだ方が良いといいましたが、報酬単価が高い分野は業務の難易度も高い傾向にあります。
ですので、新人行政書士が最初から高単価の業務ばかりを請け負えるかというと、現実的には厳しいと思います。
ですので、最初の頃は比較的業務の難易度が低く、その割には報酬単価が高い案件を選べば良いのではないかと思います。
はじめに私が選んだ専門分野の実例
以上の5つが、専門分野を選ぶ上で、私が重要だと考える基準です。
そして、実際に、私はこれらの基準をもとに、最初に取り組む専門分野を選んだので、その実例を紹介します。
私が1番最初に取り組んだ専門分野は『古物商の許可申請』です。
なぜ、古物商の許可申請を選んだのがを、上記で紹介した基準をもとに説明していきます。
強み・情熱・興味
まず、強みについてですが、私はもともとウェブマーケティングをやっていたので、ネット集客には自信がありました。
そして、基本的には多くの行政書士業務において、ネット集客は相性が良いのですが、中にはあまり相性が良くない業務もありました。
そこで、ネット集客と相性の悪い分野につしては選択肢から外しました。
2つ目の情熱・興味についてですが、私が行政書士業務の中で最も興味があったのが国際業務です。
というのも、私自身、海外旅行が好きだったり、短期間ですが留学経験があったりと、外国に興味があったからです。
ただ、国際業務を行う上では申請取次の資格が必要で、しかも、コロナウイルスの影響で申請取次の資格を取るまでにかなり時間がかかる事もあって選択肢からは外しました。
又、個人的には開業して数ヶ月間、特にこれといった業務せずに、インプットだけに終始するのは避けたいという気持ちが強かったのです。
ですので、それ以外で比較的興味のありそうなジャンルにいくつかピックアップしました。
因みに、実際に選んだ古物商への興味はどうだったかというと、国際業務ほどの興味は強くありませんでした。
ただ、私はサラリーマン時代に転売ビジネスの経験もあったので、古物商に関するちょっとした知識がある状態で、全く興味がないわけではありませんでした。
市場のニーズ・報酬単価・難易度
3つ目の市場のニーズと4つ目の報酬単価については、上記でも紹介したように『平成27年度報酬統計調査』をもとに分析しました。
特に、新人行政書士のうちは、どういった分野にどれぐらいニーズがあって、どれぐらいの報酬単価なのかを把握できている人は少ないと思います。
実際に、私自身も何となくのイメージでしかニーズや報酬がわかっていなかったので、『平成27年度報酬統計調査』の項目を1つ1つ確認し、どういった業務にどれぐらいのニーズがあって、どれぐらいの報酬なのを見ていきました。
そして、この報酬統計の中で、私の目に留まったのが古物商の許可でした。
確かに、古物商が該当する営業許可関係全体のアンケートの回答数は、他の分野に比べて少ないので決してニーズが高いとは言えません。
しかし、他の分野は各業務ごとのアンケートの回答数が50~150件程度なのに対し、古物商許可は業務単体で252件と、業務単体で比較すると他の分野よりもニーズが高い事がわかりました。
さらに、平均の報酬についても5万円前後と、高単価とまではいえませんが、そこまで悪くはないと感じました。
また、古物商の許可申請業務の難易度はそこまで高くありません。
これは、古物商の許可申請を行政書士に依頼せずに、自分で申請する人が多くいることからも分かります。
つまり、業務の難易度の割には比較的報酬単価が高いのです。
しかも、古物商の許可申請はインターネットの検索ボリュームが多く、ネット集客との相性もかなりいいです。
ですので、ネットによる集客が上手くできれば、新人行政書士でも、ある程度は数をこなせると判断し、古物商の許可を選びました。
これが私がはじめに古物商の許可申請を専門分野として選んだ経緯です。
何でもいいから専門分野を決めて
兎に角はじめるのが大事!
私は、行政書士として開業するまでに、業界について知る為に、10〜15冊ぐらいは行政書士に関する書籍を読みました。
そして、そういった書籍の中には、新人行政書士は専門分野を絞ったとしても、その依頼が来るとは限らないから、はじめは分野を絞らなくても良いという意見もありました。
しかし、個人的には仕事が来なくても、最初から専門分野は絞った方が良いと思っています。
なぜなら、専門分野を絞らないと、何を勉強すれば良いかすら決まらないからです。
そして、結果的に『専門分野が決まっていないから、勉強出来なくても仕方ない・・・』という言い訳に繋がってしまいかねません。
ですので、仕事が来なくてもいいから、取り敢えずは何かしらの専門分野を決めて、勉強を始めた方がいいと思います。
そして、仮に自分が勉強していた分野と違う分野の依頼が来たなら、依頼が来た分野を新たに勉強すればいいだけの話です。
また、ここまでに専門分野の選び方について紹介してきましたが、一発目から自分に完璧に合った専門分野を見つけるのはそもそも不可能だと思っておいた方がいいです。
実際に、私はそう思っています。
というもの、ラーメンを食べた事がない人に『好きなラーメンは何?』と質問しても答えられないのと同じで、やった事もない業務をやる前から自分に合うかどうかを判断するのは無理な話です。
だから、『自分にはこの業務が合っているかもしれない・・・』と思う業務があれば、片っ端から全部やっていきましょう!
私も古物商の許可を選んで業務を始めましたが、古物商の許可申請だけに固執するわけではなく、上記で紹介した5つの基準をもとに気になった業務は片っ端から勉強して、いろんな業務を取り組んでいこうと思っています!
それでも迷ったら鉄板の
新法・改正法という選択肢もアリ!
それでも専門分野が選べないという場合には、新法や法改正おける新しい業務に一点集中するのが良いと思います。
よく、いろいろな書籍でも、新法や法改正は新人行政書士にチャンスということが言われていますが、この点に関しては私も同感で、鉄板だと思います。
と言うのも、新法や法改正によって、ベテランとほぼ同じスタートラインで勝負が出来るからです。
しかも、ベテラン行政書士の立場としては、わざわざ新しい業務を覚える労力を考えると、既に知っている既存の業務に注力した方が効率が良いのです。
つまり、同じスタートラインに立てるだけではなく、何なら新人の方がフットワーク軽く新しい業務に取り掛かれるので、仕事を取りやすいというわけです。
まとめ
この記事のまとめ
- 強み・情熱・ニーズ・報酬単価・難易度の5つの基準で選ぶ
- はじめから運命に業務に出会えるワケがないと知る
- 気になった業務は片っ端から全部やる
- それでも悩んだら新法・改正法に一点集中
長島 雄太
NAGASHIMA行政書士事務所