この記事を書いた人
行政書士兼ウェブマーケター。ナガシマガジン運営者。サラリーマンとして働きながらウェブマーケティング会社を起業し独立。更にその後、仕事をしながら5カ月の勉強期間で行政書士試験に一発合格し、行政書士事務所を開業。
これから行政書士を目指そうと思っているのであれば、行政書士の仕事には本当に需要があるのか気になるところだと思います。
先に結論を言っておくと、行政書士には一定数の需要はあります。
しかし、残念ながら行政書士は需要以上に供給が多く、飽和状態にあるとも言えます。
ですので、「行政書士の仕事には需要があるから行政書士の資格取得はおすすめ!」というポジショントークを安易に信じてない方がいいですよ!
とは言うものの、だからと言って、「これから行政書士の資格を取得して成功するなんて無理ゲー!」というような、そんな夢のないことを言うつもりは毛頭ありません。
むしろ、個人的には行政書士はかなり可能性のある職業だと思っているので、その点を踏まえた上で記事を読んで貰えると嬉しいです。
以下では、行政書士業務の需要や、行政書士業界が飽和状態であること、今後の需要と供給はどうなるのかについて解説していきます。
行政書士の需要は一定数ある
ネットなどでは「行政書士は需要がない」などと言われる事も結構多いです。
ただ、冒頭でも言ったように、行政書士には一定の需要があります。
そもそも、大前提として行政書士には独占業務があります。
つまり、行政書士の独占業務に関しては、行政書士以外は出来ないわけで、行政書士に需要がないわけがないのです。
また、行政書士には独占業務以外にも、相続や遺言、内容証明等の民事に関わる業務から会社設立や補助金、融資、コンサルティングなど事業支援など、様々な業務を行う事が出来ます。
要するに、行政書士の仕事に関する需要というのは、行政書士の独占業務だけに限った話ではなく、それ以外にも色々な需要があるのです。
しかも、行政書士という職業が今もなお無くならずに存在していると言う事を考えると、一定程度の需要がある事は容易に理解してもらえると思います。
もし、仮に本当に行政書士の需要がないのであれば、行政書士という職業がなくなっていてもおかしくないですからね!
では、なぜ行政書士には一定の需要があるにもかかわらず「行政書士は需要がない」と言われるのでしょうか?
その理由は、需要と供給を理解せずに「仕事がない=需要がない」と誤解しているからです。
行政書士は需要以上に
供給が多いので飽和状態
上記でも触れたように、確かに行政書士の仕事は一定数の需要があります。
そして、実際に多くのブログやメディアサイトでも「行政書士の仕事は需要があるから資格取得がおすすめ」などと紹介されていたりします。
しかしながら、「需要がある=仕事がある」と結論づけるのは明らかに間違っています。
なぜなら、需要と供給のバランスを完全に無視した意見だからです。
どれだけ沢山の需要があっても、それ以上に供給があるのなら簡単には仕事の依頼が来ません。
そして、行政書士業界は正にこの需要よりも供給が多く、飽和状態となっています。
今現在の行政書士の数は全国で5万人近くいて、これは全国にあるセブンイレブン・ローソン・ファミリーマートを合わせた数と同じぐらいの数です。
つまり、それだけ多くの人が行政書がいるので、需要よりも供給の方が多くなっているのです。
そして、飽和状態になるという事は、依頼する数よりも依頼を受ける行政書士の方が多いというわけなので、行政書士では食べていけない人が溢れ出てきます。
実際に行政書士として登録している多くの人は、行政書士として食べれていないのが現実です。
その結果、世間一般では「行政書士は食えない=行政書士は需要がない」という、間違った認識が蔓延してしまっているのでしょう。
ただ、あくまでも行政書士で食べていけない人が多い理由は行政書士に需要がないからではなく、マーケティングが出来ていないからです。
この点について、詳しくは『【食えないのは当たり前!?】行政書士が食べていけない本当の理由』の記事で解説しているので、気になる方はそちらをご確認ください。
飽和状態は行政書士に限った話ではない!
では、行政書士業界が飽和状態なのであれば、別の業界を選んだ方がいいのかというと、そうとも限りません。
なぜなら、飽和状態は行政書士業界に限った話ではないからです。
実際に、弁護士や司法書士、税理士などの業界でも、資格を持っているだけでは仕事がないという時代に入ってきています。
そして、もちろん、これは行政書士だけではなく、弁護士・司法書士・税理士などについても、年々、登録者数が増えている事が影響しています。
しかし、飽和状態が急激に進行している原因はそれだけではありません。
むしろ、登録者数の増加よりも、インターネットが大きく影響していると言えます。
例えば、昔はネットが普及していなかったので、弁護士や司法書士、税理士、行政書士などに何か仕事を依頼しようと思った時に、近所にある事務所に依頼するしか選択肢はありませんでした。
つまり、近隣にライバル事務所がなければ、必然的に仕事が来るような良い時代だったのです。
しかし、現在はネットの普及により、どこにどんな事務所があるのか簡単に検索し、それぞれの事務所を比較して一番良さそうな事務所を手軽に選べるようになったのです。
つまり、インターネットの普及により、簡単に情報に触れる事ができ、地域という障壁がなくなったのです。
その結果、優れた事務所に依頼が一極集中し、それ以外の事務所については依頼が来なくなるという現象が起こります。
そして、力のある事務所にはドンドン依頼が来てより力を持ち、力のない事務所への依頼はドンドン減っていくという二極化が加速します。
つまり、プレイヤーの数以上にインターネットの普及によるパワーバランスによって、飽和状態がより加速しているというわけです。
行政書士の需要と供給は
時代の流れでどう変わるか?
では、行政書士の需要と供給は今後の時代の流れによってどのように変わるのでしょうか?
まず、短期的な流れでいうと、行政書士の需要は大きく増える事も大きく減る事もないと考えます。
なぜなら、行政書士のメイン業務は行政機関に提出する書類を作成する事であり、行政機関が一気に提出する必要書類を廃止するという事は考えにくいからです。
もちろん、ITを駆使して簡略化する事は考えられますが、それを2〜3年で完全に移行するというのは現実的に厳しいでしょう。
しかも、行政書士は、建設業許可や風営法許可、会社設立、国際業務など、多岐にわたるジャンルの仕事があるので、需要が減っていく業務もあれば、需要が増えていく業務もあります。
つまり、全ての業務の需要が一気に減るという可能性も極めて低いので、ある程度リスク分散をしていくつかのジャンルの業務をこなす知識を身につければ仕事が全然ないということにはなりにくいと言えます。
しかし一方で、やはり大きな流れとしてはAIやITの技術進歩によって将来的には多くの行政書士業務が簡易化され、需要は減っていくことが予想されます。
ただ、この点に関しても『未来はAIによって行政書士がなくなる?行政書士の将来性を考察!』の記事でも書いているように、他のビジネスにおいても同じような事が言えることなので、行政書士だけの需要が減るのかというというわけではありません。
「一生行政書士で食べていく!」という
古いパラダイムは捨てた方がいい
これから行政書士を目指す人の中には「行政書士の資格を取得して一生食べていけるか不安・・・」と感じている人もいると思います。
しかし、個人的にはこの考えは捨てた方がいいです。
なぜなら、一生ずっと同じ仕事をし続けるというパラダイムは旧時代的な考え方だからです。
もちろん、「一生、行政書士として食っていってやる!」という強い意気込みは素晴らしいと思います。
しかし、これまでの時代が進むスピードとこれからの時代が進むスピードでは、比べ物にならないぐらい後者の方が早く、今までのように同じ仕事を続けるというのが難しい時代になっていくはずです。
町から本屋やレンタルビデオ店、CDショップがどんどん姿を消していったように、行政書士事務所がどんどん町から姿を消していく可能性もゼロではありません。
特に、これからの時代はインターネットにより業界同士の境界線が溶けていく時代です。
どういいうことかと言うと、本屋やレンタルビデオショップ、CDショップのライバルは近くのお店ではなくAmazonであり、TOYOTAのライバルは日産ではなく、自動運転を開発するGoogleやAppleなどのIT企業となっているように、ライバルは同じ業界とは限らなくなってきているということです。
つまり、行政書士のライバルは近くの行政書士事務所ではなく、別業界のIT企業になる事も十分に考えられるわけです。
そして、仮にそういった大企業がIT技術を駆使して参入してきた場合には、一気に多くの行政書士が廃業に追いやられることになるでしょう。
そうなると、「一生、行政書士として食っていく」という価値観で行政書士という資格に固執していたのでは、その後に生き残っていける可能性はかなり低いと言えます。
だから、行政書士としての知識・スキルを身につけるのは勿論ですが、行政書士を軸とした別のビジネス展開も視野に入れながら行動していく必要があると思います。
特に、行政書士の業務は様々な業界と接点を持つことができる仕事でもあるので、新たなビジネスと出会える確率が高いチャンスにあふれた仕事ではないでしょうか。
行政書士業務に関する需要と供給まとめ
この記事のまとめ
- 行政書士の需要は一定数ある
- ただし、それ以上に供給の方が多いから飽和状態
- 飽和状態は行政書士業界以外でも起こっている
- 将来的に行政書士の需要が減る可能性は高い
- 行政書士を通して別のビジネス展開を視野に入れるべき
行政書士の通信講座講座選びで
迷ったら場合はどうしたらいい?
ナガシマガジンでは、現在受講が可能な全17種類の通信講座の費用や講義動画、質問などのサポート体制、合格実績、講師の質に至るまで、通信講座選びで重要となる様々な点で徹底的に比較し、100点満点で採点を行いランキング形式で紹介しています。
行政書士の通信講座選びで迷った際は、是非参考にしてみて下さい!
長島 雄太
NAGASHIMA行政書士事務所