この記事を書いた人
行政書士兼ウェブマーケター。ナガシマガジン運営者。サラリーマンとして働きながらウェブマーケティング会社を起業し独立。更にその後、仕事をしながら5カ月の勉強期間で行政書士試験に一発合格し、行政書士事務所を開業。
会社の定年前や定年後に行政書士の資格を取得したとしても、独立開業して稼げるわけでも、就職できるわけでもありません。
こういった甘い言葉に騙されないように注意してください!
予備校や通信講座、資格紹介メディアなどネットの情報を見ていると、「定年後でも行政書士として独立開業して稼げる」「行政書士は一生モノの資格」とようなことが言われていたりします。
そんな情報を目にすると、行政書士の資格を取得すれば定年後でも独立開業してお金を稼げるとか、行政書士の資格を取得すれば定年後でも行政書士事務所で雇ってもらえると思う人も多いです。
しかし、残念ながらそういった情報は予備校や通信講座、資格紹介メディアなどが行政書士試験の受験者数を増やして、自社の商品やサービスを販売するための戦略に過ぎません。
実際には、定年後に行政書士の資格を取得したからと言って、誰もが開業して稼げたり就職できたりするわけではないのです。
以下では、定年後に行政書士として独立開業・就職が可能という予備校や通信講座、資格紹介メディアの戦略や、定年後に行政書士として独立開業・就職することの厳しい現実について解説してきます。
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定年後に行政書士として開業・就職が可能という甘い言葉に騙されてはいけない!
最近ではネットやマスメディアで「人生100年時代」「老後2000万円問題」などが取りざたされ、定年後の収入について不安を抱えている人は多いです。
となると、どうしてもどこかの企業に再就職するか、自分で稼いでいくしか方法はありません。
ただ、定年後にどこかの企業に再就職するとなるとかなりハードルは高く、これまで働いていた企業での実績が相当重視されます。
一方で自分で稼ぐにしても、今まで会社員として働いてきて、いきなり自分の力だけでお金を稼ぐというのも相当ハードルが高いです。
そこで、多くの方が考えるのが資格を取得して働くという選択肢です。
特に行政書士のような独占業務がある国家資格で、独立開業が可能な資格であれば定年退職後も働けてお金を稼げると思うのです。
そして、実際にそういった定年退職前や定年退職後の人をターゲットに、予備校や通信講座、資格紹介メディアでは「定年後に行政書士として開業・就職が可能」と紹介し、行政書士試験の受験者を増やして自社の商品やサービスを購入させようとしているのです。
ただ、結論から言うと定年後に行政書士試験の資格を取得して独立開業や就職するというのはそんな簡単なことではありません。
なので、予備校や通信講座、資格紹介メディアなどの甘い言葉に騙されないでください。
定年後に行政書士として独立開業して稼ぐのが難しい理由
行政書士というと、独占業務がある上に独立開業も可能なので資格を取得すると簡単に稼げるかのように感じるかもしれません。
しかし、行政書士の資格を持っているだけでは全く稼げません。
それどころか、今の時代は行政書士よりも難関資格である、弁護士や司法書士、税理士などに関しても資格を持っているだけでは稼げないと言われている時代です。
つまり、行政資格を取得すれば自分で稼いでいけるというイメージは幻想なのです。
しかも、行政書士の業務というのはその人によって仕事内容にあまり差異が出ない規則性のある業務なので、ライバル業者との差別化が難しい職種です。
なので、行政書士として稼いでいくためには以下のどれかが必要となります。
- 営業力
- マーケティング力
- ブランディング力
- 人脈
- ネットスキル
- 行動力
個人事業主の開業3年以内の廃業率は4割前後?
更に、行政書士として開業する上での厳しい現実を知っておく必要があります
それは個人事業で独立開業する人の4割は3年以内で廃業するというデータです。
毎年、行政書士試験では4万人もの人が受験し、その内4000~5000人程度が合格します。
そして、その合格者の内から実際に行政書士として登録する人の数は1500人前後となるのですが、この内600人前後は3年で廃業してしまうかもしれないというわけです。
人によっては行政書士試験に合格するために1~2年間勉強してやっと行政書士になれたにもかかわらず、3年で廃業してしまう人がこれだけ多いというのは厳しい話です。
では、なぜ、多くの人が行政書士で廃業してしまうかというと、行政書士の資格を持っているだけで仕事が取れると勘違いして行政書士を目指す人が多いからだと思います。
しかし、実際には行政書士の資格以外にマーケティング力や営業力、行動力などの行政書士事務所を経営してい上では絶対に必要なのです。
定年後に行政書士として就職するのが難しい理由
上記では定年後に行政書士の資格を取得して独立開業して稼ぐことの難しさについて解説しました。
では、資格を取得して独立開業ではなく、行政書士事務所や弁護士事務所、税理士事務所などでの就職はどうなのでしょうか?
結論からいうと、転職後に行政書士として就職することも難しいです。
なぜなら、そもそも行政書士の求人というのは世の中にほとんどないからです。
行政書士の仕事というのは、事務所に行政書士が1人いて監督すれば、後は行政書士の資格を持っていない補助者でもある程度の業務ができます。
つまり、わざわざ行政書士の有資格者を高いお金を出して雇わなくても、資格を持っていないパート従業員で間に合うのです。
しかも、世の中にある行政書士事務所の大半は1~3人という小規模の事務所がほとんどなので、求人を出すことがほとんどありません。
では、行政書士事務所以外の弁護士事務所や税理士事務所、司法書士事務所などでの求人はどうかというと、こちらも大してありません。
なぜなら、士業業界は繋がりが多く、仮に行政書士に依頼が必要な業務が発生しても知り合いの行政書士に依頼出来るので、わざわざ自分の事務所で行政書士を抱える必要がないからです。
定年後に行政書士として独立開業して稼ぐのは不可能ではない
ここまで、定年後に行政書士として独立開業・就職することに厳しさについて解説してきました。
ただ、誤解のないように言っておくと、定年後に行政書士として独立開業してお金を稼ぐことは不可能ではありません。
むしろ、定年後に0から他のビジネスを立ち上げて稼ぐよりも、行政書士の資格を取得して独立開業した方が稼げる可能性が高いと言えます。
なぜなら、行政書士のビジネスモデルはほぼ上手くいくビジネスモデルの条件が当てはまるからです。
行政書士のメリット
- 小資本で始められる
- 利益率が高い
- 利益率が高い
- 定期的に一定額の収入が見込める
上記のほぼ上手くいくビジネスモデルの条件は、ホリエモンこと堀江貴文氏がブログで書いていたものです。
行政書士というビジネスモデルはこれらの①~③に当てはまり、工夫の仕方次第では④についても当てはまります。
つまり、他のビジネスを開業して稼ぐよりも、行政書士として独立開業する方が稼げる可能性が高いというわけです。
ただ、何度も言うように簡単に稼げるというワケではなく、あくまでも他のビジネスに比べと稼ぎやすいという意味である点についてはちゃんと理解しておく必要があります。
ポイント
因みに、定年後の就職に関しても不可能とまでは言いませんが、行政書士の求人自体が少ない上に年齢的にもかなり厳しいとは思います。
まとめ:定年後に行政書士として開業・就職するのは決して簡単ではない
特に最近は定年後や定年間近の人をターゲットとして資格取得をすすめてりしています。
なぜなら、定年を迎えた人はお金にも時間にも余裕のある人が多いので、資格取得には格好の獲物だからです。
だから、「定年後でも行政書士として独立開業して稼げる」「行政書士は一生モノの資格」などのような甘い言葉に騙されて、安易に行政書士の資格を取得して独立開業しないように注意してください。
一方で、これは行政書士という資格がダメというワケではなく、行政書士という職業自体は本気で開業すれば定年後でも十分稼げる資格です。
なので、行政書士として独立開業して稼ぐことの難しさを理解した上で、本気で定年後に独立開業を目指すのであれば、チャレンジしてみる価値はあると思います。
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長島 雄太
NAGASHIMA行政書士事務所